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きいろいゾウ / 西 加奈子

2016/05/31


夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。

お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。

背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。

夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。

それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった―。 内容(「BOOK」データベースより)




うわぁ、西加奈子だわ。

とってもとっても。

感想を書くという行為が、あまりよろしくない気がする。

言葉で表すことが得意ではない私には、読んで感じるこの瞬間が全て。

改めて、この世界観を言葉に書き残すことが難しいです。


色気とか肉感的な感じが全くしない、あらゆる生命の声が聞こえる、真っ直ぐ小学生のような妻。

妻の心をすっと静かに汲み取り、背中からふわりと包み込む小説家の夫。

二人を取り囲む田舎のご近所付き合い。

長閑でありながら、何も無駄のない、常にどこか緊張感のある物語。


主人公と思っていた妻の危うさと、掴み所のない夫。

終わってみたら、妻ではなく夫が主人公だったのかと思えるほど、妻以上に自分の形を探していたのは夫だったのかな。

妻がコーヒーを淹れる遅さに、人として安心感を覚えた夫。

ここの描写が好きです。



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07:45 西 加奈子 | コメント(0) | トラックバック(0)

一の悲劇 / 法月 綸太郎

2014/04/08
一の悲劇 (ノン・ノベル)一の悲劇 (ノン・ノベル)
(1991/04)
法月 綸太郎

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「あなたが茂を殺したのよ」

広告代理店局長の山倉史朗は、狂乱した冨沢路子の前で絶句した―。

路子の一人息子茂が誘拐されたのだが、脅迫はなぜか山倉に向けられていた。

犯人は山倉の息子隆史と、近くに住む同級生の茂を間違えて誘拐したらしい。

密かに布かれた警察の監視網の中、山倉は身代金六千万円を持って、人質の茂を引き取りに、指定された場所へ向かった。

が、犯人との接触に失敗し、翌日、茂は死体となって発見されたのだ。

誰がこんな残酷なことを?

本格ミステリ界期待の新鋭が贈る、驚愕のドンデン返し。 内容(「BOOK」データベースより)



初めて読んだ作家さんです。

テンポが良くてどんでん返しもある面白いミステリではあります。

しかし、ミステリとしての目新しさ、軸となる強さや個性は感じられなかった。

どうも、昔々に読んだ昭和の作品っぽく見えてしまうのです。

20年前の作品だとしても、それ以上に古さを感じさせることが不思議でしたが、巻末のあとがきを読んで納得しました。


まだ自分のスタイルを云々するほど成熟していないので、かつて強いインパクトを受けた作品を模倣し、試行錯誤を行っている。と。

ご本人が全くの言い訳なく、批判を受け止める覚悟で、心揺さぶられた作品へのオマージュだと言っておられる。

そういう考え方もあるんだなぁと驚いてしまった。

既視感のあるシーンを繋げたように思えるのは、こうした経緯のようです。


ミステリの醍醐味は、作家さんに最後の最後まんまとしてやられること。

参りましたー!と思わされたいのです。

この作品に関しては、物語の展開が先に立ち、きちんと捻じ伏せられた気がしない。

せめてナイフで刺した犯人は、少しぐらい返り血を浴びて欲しいなぁ。

いくつか細かなシーンで引っかかってしまった。

法月さんの作品を数多く読めば、影響を受けながらどんどん変化していく姿が楽しかったりするのかもしれません。



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22:36 な行 その他の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)

ふくわらい / 西 加奈子

2014/03/12
ふくわらいふくわらい
(2012/08/07)
西 加奈子

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マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。

彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、誰もが目を覆うような特異な体験をした。

その時から、定は、世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。

日常を機械的に送る定だったが、ある日、心の奥底にしまいこんでいた、自分でも忘れていたはずの思いに気づいてしまう。

その瞬間、彼女の心の壁は崩れ去り、熱い思いが止めどなく溢れ出すのだった――。



初めての作家さんでしたが、とても好きな作品になりました。

主人公:定の言葉や言動にすっかり取り込まれてしまって、読むのが楽しくて仕方がなかったです。


紀行作家に連れられて世界中を旅してきた定は、父と定だけにある基準で生きてきたのかもしれない。

日本に戻って、普通に生活していても、世間の普通ができない。

垣根を取り払うことが何か、会話をすることが何か、友達とは何か、恋をすることが何か。

全てが分からないし、分かる方法も分からない定の言葉は、交わらなくても素晴らしく魅力的だった。


出会う相手の誰をも否定しない。

決して自分の物差しで測ろうとはしない。

相手そのままの姿を丸々受け止めようとする真っ直ぐさが、可愛くて美しかった。


変わり者としか思えない数々の作家たちの無理難題を全身で受け止める定。

出逢いの中で彼女の心は変化していくが(それが小説なんだろうけれど)、個人的にはこのままでいて欲しかった部分もある。

誰とも交わることのない圧倒的な清潔な世界観が本当に魅力的だったから。


ラストは突然俗っぽくなってしまったように思いました。

いわゆる小説のラストらしい形。

私としては、この作品の持つ突き抜けた感が、少しずれた気持ちがして残念でした。



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14:35 西 加奈子 | コメント(2) | トラックバック(1)

贖罪の奏鳴曲(ソナタ) / 中山 七里

2013/08/12
贖罪の奏鳴曲贖罪の奏鳴曲
(2011/12/22)
中山 七里

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どんでん返しが止まらない!

封印された過去が、新たな「罪」へ。「正義」と「贖罪」の意味を問う驚愕のミステリー。

『さよならドビュッシー』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作家による新たな傑作誕生!

弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。

死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聞く。

だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった――。



この人のミステリはどうも好みに合わないみたいです。

以前に読んだ「さよならドビュッシー」で感じた引っかかりが、今回もありました。

売りは完璧なアリバイだが、蓋を開けてみたら、読者が腑に落ちる程のからくりではない。

ちょっとづつ邪道で、物足りないのです。


私が好きなミステリは、読み終わったとき「やられた!」と思わせるような、悔しさを感じさせる作品。

全く気が付かなかった、まんまとしてやられたと、完敗したいのです。


この作品のトリックには、読者をねじ伏せる骨太さはない。

ベースは複雑でもないのだが、物語を混沌とさせるために、後から強引にねじった印象を受ける。

ラストの加速の速さ、どんでん返しの繰り返しは、確かに面白いと思う。

中高生が読む分には楽しいと思いますが、ミステリを読もうと思って手に取ると辛いです。



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12:00 中山 七里 | コメント(2) | トラックバック(0)

きみはいい子 / 中脇 初枝

2013/06/19
きみはいい子 (一般書)きみはいい子 (一般書)
(2012/05/17)
中脇 初枝

商品詳細を見る

ある雨の日の夕方、ある同じ町を舞台に。

誰かのたったひとことや、ほんの少しの思いやりが生むかもしれない光を描き出した連作短篇集。

夕方五時までは帰ってくるなと言われ、雨の日も校庭にたたずむ生徒と新任教師との心のふれあいを描く「サンタさんの来ない家」。

娘に手を上げてしまう母親とママ友との物語。

ひとり暮らしが長くなった老女と、家を訪ねてきたある男の子との物語。

人間の優しさとその優しさが生む光が、どれほど尊くかけがえのないものかをあらためて感じさせる感動作。

第二十八回 坪田譲治文学賞 受賞  第一回静岡書店大賞 小説部門 受賞  キノベス! 2013 第2位 



ある町を舞台に虐待をテーマとした連結短編集。

小さな町で誰かと誰かがほんの少し触れ合い、わずかな思い出を残していく。

悲しい話ではあるが、それ以上に優しい想いが詰まった物語だとも思う。


虐待をされた娘は、恐怖を抱えて母親になっていく。

そんな彼女たちに手を差し伸べ、導ける人間はどれだけいるだろうか。

上手く立ち回れない大人もたくさん出てくるが、それを覆い尽くす静かな温かさがあって、

誰かと誰かが繋がることで、きみは無条件にいい子なんだよと教えてくれる。


虐待をリアルに描くことも必要だろうが、このように児童文学的な包み方もありだと思う。

距離を少し取って読めるので、目を瞑らずに受け止められる気がする。


ものすごくささやかな形で繋がる連結短編集。

読み漏れがあるような気がして、最初に戻ってさらさらと読み直してしまった。

やはり、細かな部分でもきちんと繋がっていた。

見せ方がとても控えめで、主張し過ぎない描き方は、この物語にしっくりくるように思います。



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10:51 中脇 初枝 | コメント(0) | トラックバック(0)
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