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夏を喪くす / 原田 マハ

2016/07/11


「なんだか、硬いね」

ベッドで恋人が乳房の異変に気づいた。

仕事と恋を謳歌する咲子の人生に暗雲が翳る。

夫との冷えた関係に加え、急に遠ざかる不倫相手に呆然とする。

夏の沖縄で四十歳を迎えた女性の転機を描く表題作「夏を喪くす」。

揺れる女心の決意の瞬間を、注目作家が鮮烈に綴る中編集。内容(「BOOK」データベースより)



あれ、この人こんなに面白かったっけ。

以前に読んだ「楽園のカンヴァス」「キネマの神様」より、ずっとずっといい。


女性を主人公とした中編が4つ。

それぞれが満足のいく重みのある内容で、どれかに絞って感想を書こうと思うのだが、絞りきれないのです。

後悔や不幸が混ざり追い込まれるも、最後に手を伸ばさなければならない距離感で、淡い希望の光を見つける。

ぐっと手を伸ばすところで終わる感じが、この物語たちの共通点でしょうか。


「天国の蠅」は不思議と心に残ります。

父親の借金に追われ、まともな学生生活を送れなかった主人公と、どうしようもない父親との関係。

どんなにダメな父親でも、自分のことを「蠅」と見立てて書いた詩は、見事に美しい。

そうだ、「キネマの神様」のお父さんもダメだったなぁ。


男に甘えきることが出来ずに問題を一人で解決しようとする姿が、なんて不器用な…と思いつつも応援してしまう。

パサついた感じを出す上手さが、角田光代さんに近い印象。

手軽に読める中編で、雰囲気の良い作品でした。



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16:58 原田 マハ | コメント(4) | トラックバック(0)

本を読む女 / 林 真理子

2015/02/25
本を読む女 (新潮文庫)本を読む女 (新潮文庫)
(1993/03/02)
林 真理子

商品詳細を見る

万亀は本を読むのが好きなだけの平凡な女の子。

しかし突然の父の死と戦争の始まりによって、彼女の人生は否応なく時代の流れに巻き込まれてしまう。

進学、就職、結婚という人生の岐路において、常に夢や希望を現実に押しつぶされつつも、読書を心の支えに懸命に自分の人生を生き抜いた万亀。

著者自身の母親をモデルに、一人の文学少女の半生と昭和という時代を描いた力作長編小説。 内容(「BOOK」データベースより)



ストレートなタイトルに目が行き、軽い気持ちで借りてきたのですが、期待以上の奥深い作品でした。

大正時代から始まる物語で、山梨の田舎の少女が主人公。

デビュー作「葡萄が目にしみる」の、山梨から都会に出ようとしていた林真理子さんを思い起こしながら読んでいました。


大正時代。

次第に戦争へと日本が向かい、女性は就職、結婚、家族のため、自分の意思をまげて暮らしていかなければならない。

自分の思うように生きることができたのなら。

主人公はいつも願っているのだが、その度家族に引き戻され、何度も道を諦め唇を噛んでいる。

もどかしさを抱えながらも、夢を一つ一つ諦め、それでも逞しく生きていく姿がありました。


各章のタイトルのつけ方が素敵で印象に残ります。

「赤い鳥」、「放浪記」、「万葉集」、「斜陽」…

小説のタイトルが使われているのですが、内容と見事にリンクして美しい。

格好いいなぁと思っていました。


読み終わってようやく、主人公の万亀は林真理子さんのお母さんだと知りました。

そういうことだったのか…

都会に対する強い憧れ、文章能力が秀でた頭の回転の良さ、内に秘めた意志の強さ。

雰囲気が似ていると思いつつ読んでいたのですが、お母様だったのですね。

母があの時やり残したことを、林真理子さんがタスキを受け取り、期待以上に夢を叶えているかのよう。



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21:37 林 真理子 | コメント(4) | トラックバック(0)

ロスト・ケア / 葉真中 顕

2014/05/26
ロスト・ケアロスト・ケア
(2013/02/16)
葉真中 顕(はまなか・ あき)

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社会の中でもがき苦しむ人々の絶望を抉り出す、魂を揺さぶるミステリー小説の傑作に、驚きと感嘆の声。

人間の尊厳、真の善と悪を、今をいきるあなたに問う。

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 内容(「BOOK」データベースより)



そうか、この作品はミステリなのか。

介護の問題を丁寧に描いた作品であるが、ミステリを読んだという気にはならなかった。

トリックとしてはあまりにも陳腐なので、その辺りには目をつぶって読んだ方が良いと思う。

特にミステリという看板を背負わせず、介護を伝える読み物としてなら、高校生ぐらいにもお勧めできる作品です。


介護の問題は、語る人の立ち位置によって変わってくるものだと痛感しました。

介護される人の尊厳を語ることが出来るのは、有料老人ホームに親を入れることが出来るような安全地帯の人。

日々ギリギリのところで介護をしている人にとって、「人間の尊厳」と声高に言われても、どうすることもできない。

大切さは心底分かっていても、現実問題、そこまで心に余裕を持てない。


介護のために仕事をやめなければならない人。

日中介護が必要だと分かっていても、お年寄りを一人残して、外に働きに行かねば生活できない人。

暴れてしまったとき、縛らなければどうにもならない瞬間もある。


優しくなどなれない。

殺してしまうかもしれない。

ギリギリの生活をしている人に、安全地帯からものを言うことができるのだろうか。


この作品では、人の尊厳、介護者の生活、心の問題、ヘルパー業の苦悩、多くのことが問題定義されている。

安楽死を認める国があり、認めない国があり。

考えさせられることが多くありました。

自分ならどうすることが出来るだろうかと。


望まれての安楽死と、他人が判断した安楽死では、全く意味合いが異なってくる。

そういう意味で、物語で行われる罪を支持する気持ちにはなれないが、救われたと感じる人もきっと存在するだろう。

タブー視することなく考えることは大切。

ラストはピントがぼやけてしまい物足りなくもありますが、読みやすいので介護を知るきっかけにいいと思います。



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21:32 は行 その他の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)

カッコウの卵は誰のもの / 東野 圭吾

2014/02/10
カッコウの卵は誰のものカッコウの卵は誰のもの
(2010/01/20)
東野 圭吾

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スキーの元日本代表・緋田には、同じくスキーヤーの娘・風美がいる。

母親の智代は、風美が2歳になる前に自殺していた。

緋田は、智代の遺品から流産の事実を知る。

では、風美の出生は?

そんななか、緋田父子の遺伝子についてスポーツ医学的研究の要請が……。

さらに、風美の競技出場を妨害する脅迫状が届く。

複雑にもつれた殺意……。



絶対的な悪人はいないのに、誰かが死に、誰かが傷ついてしまう。

庇おうとすればするほど複雑に絡まる静かな殺人事件は、東野圭吾の得意とするところだなと思います。


妻の死後、初めて知った流産の事実。

我が子だと思っていた娘は、一体誰の子なのか。

新生児の誘拐事件を耳にしたことはあるが、まさか妻が…

一人悩み、娘の将来を思い、父は全ての罪を被ろうと決める。


出だしはワクワクするような面白さがあったのですが、肝心な謎解きで少し失速してしまったかな。

都合よく情報が流れ、東野さん特有のきちきちっと角を合わせるような収まりの良さがなかった。

動機も暴露も心理状態も、細かく突っ込みだしたらきりがない。

そういう意味では、しっかり読むには物足りない作品です。


雰囲気的に軽そうな本だったので、私は息抜き用に手に取りました。

気合を入れて読むにはお勧めしませんが、軽く読むにはテンポよく、とても楽しい作品です。



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17:00 東野 圭吾 | コメント(2) | トラックバック(0)

インビジブルレイン / 誉田哲也

2013/11/18
インビジブルレイン (光文社文庫)インビジブルレイン (光文社文庫)
(2012/07/12)
誉田哲也

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姫川班が捜査に加わったチンピラ惨殺事件。

暴力団同士の抗争も視野に入れて捜査が進む中、「犯人は柳井健斗」というタレ込みが入る。

ところが、上層部から奇妙な指示が下った。

捜査線上に柳井の名が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだ。

隠蔽されようとする真実―。

警察組織の壁に玲子はどう立ち向かうのか?

シリーズ中もっとも切なく熱い結末。



どっちつかずな作品に変化した印象を受けました。

もともとはグロさのある事件を、美しく優秀な姫川が才覚を見せ解決。

姫川を取り巻く周辺では、ほのかな恋愛感情を漂わせつつの、少し軽めの警察ものだった。


今回は警察小説として力が入っていたと思う。

思うが、犯人や狙いはある程度想像がつく範囲。

複雑になりはしたが、面白くなったとは言い難い。


姫川が恋に落ちた相手は、なんともありそうな設定で見ていて辛い。

いやいや姫川はさておき、菊田が可哀想過ぎる。

今まで大事に温めてきた菊田を突然放置するなんて。

誉田さんのちょっとした意地悪なのかしら (゚ー゚*?)? 


上司が理解を示し、ひたすらにプッシュする展開。

どちらかというと妬みを一身に受けてきた姫川に、ここまで援護射撃があるなんて。

このシリーズ、若干ラインが変わってきたなという感じです。



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14:04 誉田 哲也 | コメント(0) | トラックバック(1)
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