05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

スポンサーサイト

--/--/--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- スポンサー広告

老人と海 / ヘミングウェイ

2015/02/07
老人と海 (新潮文庫)老人と海 (新潮文庫)
(2003/05)
ヘミングウェイ

商品詳細を見る

キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。

残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。

4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。

徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。

内容(「BOOK」データベースより)



ずいぶん昔に読んだときには、老人がカジキマグロと格闘する精神力のようなものを感じたと思う。

残っている印象は、男のロマンの物語。

だが今回思い出せないほど久しぶりに読んでみて、老人が幸せに見えてしまってしょうがなかった。

私も歳を取ったのだな…^^


誰に何と言われようと、自分ができることは海に出ることでしかなく。

結果を出さなければとやかく言われるが、いったん海に出てしまえば、人目も届かない自分と魚だけの孤独な世界。

老人は人生をかけて戦ってきた魚と対話をし、男と男の勝負を挑む。

体がぼろぼろになって得たカジキマグロだからこそ、敬意をもって美しい姿で港に連れて帰りたいと奮闘する。

延々と続くカジキとの対話に、精神がどこへ向かっていくのか、こちらも引きずられそうになる。


心の美しい少年がいなければ、ものすごく悲しい物語になってしまうのだけれど、

老人の価値を変わらず尊いものだと感じてくれる少年の涙に、読み手の私が癒されました。

それこそ老人が海を取り上げられ、老人ホームで暮らすことになれば、もっと楽だろうが幸せを感じることはないのだろう。

生きているのだなと思う。

しっかり強く太く、自分の人生を生きている。

「楽なことが幸せではない」という言葉が好きなのですが、ぼろ布のようになって横たわる老人が、とても美しく幸せに映りました。



押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
スポンサーサイト
15:11 海外の作家 | コメント(0) | トラックバック(0)

24人のビリー・ミリガン / ダニエル・キイス

2014/12/06
24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)
(1999/10)
ダニエル キイス

商品詳細を見る

24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)
(1999/10)
ダニエル キイス

商品詳細を見る
 
1977年、オハイオ州で連続レイプ犯としてひとりの青年が逮捕された。

彼の名はビリー・ミリガン、22歳。

しかし彼には犯行の記憶がまったくなかったのだ。

じつはそれは、彼のなかに潜む別人格のしわざだった…

一般の人々がいまだ多重人格という障害について知らずにいた1981年。

作家キイスが世に問うて全米を驚倒させ、92年に邦訳されるや、日本でも空前の“多重人格ブーム”を巻き起こした、記念碑的ノンフィクション。 内容(「BOOK」データベースより)



ダニエル・キイスが亡くなったと報道で知り、久々に手に取りました。

多重人格という言葉に対して漠然としたイメージしかなかったのが、この作品を読んで構造が初めて見えたことを思いだします。

これまでは、なんらかの精神的ショックから他の人格が生まれたとして、

自分の中に存在する数多くの人格を管理コントロールするのは、あくまでも主である自分なのだと思っていました。


しかし作品の中では全く違った。

自分であるビリー・ミリガンは、ずっと心の奥深くで眠らされたまま。

他の人格者の中から年長で管理能力の高い者が、全体を統括していたなんて。

一人の身体の中に、大人も子どもも男も女も存在し、一つの社会のようになっていた。


実際の報道から、ビリー・ミリガンが罪から逃れたいがために演技をしていると、世間から疑われ続けていたことも知りました。

本当に難しい問題だと思う。

ビリー・ミリガン本人が全く知らない間に、自分ではない人格が凶悪な犯罪を犯してしまったと主張している。

それが本当なら、一生刑務所に入れられるのは、確かに不本意であろう。

では、もし精神病のため連続レイプの罪が無罪と認められ、彼が社会に戻ったとしたら…

本人が知らない間に罪を犯していたのに、再犯がないと誰が保障できるのだろうか。


マスコミはビリー・ミリガンの出所を拒否するように煽り、統合の治療も数多くの邪魔が入り、一進一退を繰り返す。

せめてできる限りの治療をしてから、次の判断をすればいいじゃないかと、私などは思ってしまうがそうはならなかった。

治療をした結果、方向性が見えてくることもあるだろうが、治療することが悪であるかのように、ビリー・ミリガンを苦しめ続ける。

暴力も、管理しやすいように薬漬けにするやり方も、痛めつける為にない罪を被せることも。


この物語が最初から最後まで事実かどうかは、やはり分からないのかもしれない。

それでも、小説のように分かりやすい展開にはならず、延々と行きつ戻りつを繰り返すしんどさに、これが現実なのかとも思う。

罪は罪だから、現実は変えられないのだけれど。

この後も、ビリー・ミリガンの治療に良い選択がされなかったことは、本当に残念に思う。

加害者と被害者の境目が分からないから、やはり読んでいて辛いのです。



押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
14:14 海外の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)

香水-ある人殺しの物語 / パトリック・ジュースキント

2012/10/06
416310660X香水―ある人殺しの物語
パトリック ジュースキント パトリック・ジュースキント 池内 紀
文藝春秋 1988-12

by G-Tools

舞台は18世紀のフランス。

町は汚穢(おわい)にまみれ、至るところに悪臭が立ちこめていた。

そこに、まったく体臭のない男がいた。

男にないのは体臭だけでない。

恐ろしく鋭い嗅覚と、においへの異様なまでの執着以外に、男には何もなかった。

87年世界幻想文学大賞受賞作品



表紙同様、魅惑的な本に出会いました。

一気読み必至、個性的で揺るぎない世界を持つ殺人鬼の物語。


下水など整備されていない十八世紀のフランス。

汗、汚物、ヘドロ、チーズ、家畜、メンス…臭いが入り混じり、最大の都市パリは悪臭を放っていた。

主人公は、どんな匂いも嗅ぎ分けられる、類まれな嗅覚を持つ男。

逆に言えば匂い以外何一つ執着せず、心の中は空っぽの空洞。


誰にも真似できない天性の才能を持っていたら、普通は何を望むだろうか。

香水を究めれば、職人として財を築くことができるだろうに。

金も名誉も女も望まず、ただ鼻を動かし存在しているだけなんて。


そんな男が人生で初めて出会ってしまった匂い。

結婚前のある少女の匂いに魅せられ、物語は動き始める。


白檀、ホップ、海狸香、金雀枝、梨、樟脳、松の実、ベルガモット、麝香、ジャスミン…

原料から長時間かけて精製し、調合を重ねるシーン。

退屈させることなく、むせ返るような香りを伝える筆力は見事。

変人としか言いようのない男に惹きつけられ、人殺しさえも肩入れして読んでしまう。


さてさて、こんなに良い流れだったのに、最後の広場のシーンだけは興ざめだった。

香水一振りで乱交になるなんて、いかがなものか。

あれさえなければな…の一冊でもあります。



押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
09:16 海外の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)

パイド・パイパー / ネビル・シュート

2012/06/26
448861602Xパイド・パイパー - 自由への越境 (創元推理文庫)
ネビル・シュート 池 央耿
東京創元社 2002-02-22

by G-Tools

フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、ドイツ軍の編隊の機銃掃射を受けて動けなくなった。

これから先は歩いてもらわにゃあ―。

老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。

故国を目差して…!

戦火広がるフランスを、機知と人間の善意を頼りに、徒手空拳の身でひたすらイギリス目差して進む老人と子供たち。

英国冒険小説界の雄が贈る感動の一編。 内容(「BOOK」データベースより)



少し以前の話ですが、「持ち歩ける庭のように」の彩月氷香さんが、好きになる本の共通点に「主人公が人として格好いいこと」を挙げておられました。

イケメンではなく、人としての格好よさ。

うんうん、とてもよく分かります。

おすすめ主人公の一人として、この「パイド・パイパー」を紹介してもらいました。

氷香さーん、素敵な本を教えてくれてありがとう


時は1940年、第二次世界大戦。

イギリスの老紳士がフランスで休暇中、ドイツが突然フランスへ進軍。

これ以上フランスに留まっていることは危険と知り、急遽イギリスへ帰ることにする。

安全なイギリスへ帰るなら我が子も一緒にと、半ば強引に子どもを託される老紳士。

引き受けはしたものの、電車は止まり、車の手配が付かず、ただ歩くしか道はない。


刻一刻と追い詰められていくのに、子ども達は戦争に対して緊迫感はない。

全くと言っていいほど。

子育てには付き物の、あんなこんなに振り回される紳士。

お腹が空き、乗り物に酔っては吐き、熱を出して、泣き出す。

戦車が通ると見に行こうと走り出すし、イギリス人とばれない為に英語を禁止するも、不用意に使ってしまう。


こんなに大変なのに、戦争孤児を放っておけず一緒に連れていくものだから、人数はおのずと増えてしまう。

子ども達の我がままにも忍耐で耐え、リュウマチで傷む膝をさすりながら歩く。

どうしてそこまでして子どもを守ろうとするのか。

その目はきっと、子どもたちを通して、戦争で失った息子を見ている。

とても優しくて、ほとんどが滑稽で、なのに後姿が格好いい。


この物語は冒険小説だけれど、色んな味が含まれている。

様々な角度から、戦争の弊害を驚くほどさらりと見せる。

ユダヤ人への迫害、戦争孤児、叶うことのない普通の恋愛。


戦火の真っただ中にいて、どこかのんびりとした空気が漂うのは、女子供と年寄りしかいないからでしょうか。

みんなが力を合わせて知恵を振り絞り、でも決して力でねじ伏せることを良しとしない。

老紳士を支えるニコルもまた素敵。

一見子供向けに見えるが、大人の心をしっかりと掴む心に残る冒険小説。

パイド・パイパーの意味は、ハーメルンの笛吹き 《ネズミの襲来に困っていた Hamelin の町から,笛の音でネズミを誘い出して川におぼれさせたが,町が約束の報酬を与えなかったことへの腹いせに,笛を吹きながら町中の子どもをみな洞窟(どうくつ)へ連れ込んだといわれる人物》から、人を巧みに誘導する者。



押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
12:06 海外の作家 | コメント(4) | トラックバック(1)

アルジャーノンに花束を / ダニエル・キイス

2011/01/16
4152033932アルジャーノンに花束を
ダニエル キイス 小尾 芙佐 ダニエル・キイス
早川書房 1989-04

by G-Tools


知的障害により、32歳になっても幼児の知能しかない、チャーリイ・ゴードン。

パン屋で下働きする彼に、夢のような話が舞いこんだ。

大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。

この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。

やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…

超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。
内容(「BOOK」データベースより)




彼の願いは、「みんなのようにかしこくなりたい。」

たったそれだけだったのに。


大学の教授の手によって手術され、知的障害者のチャーリーは天才に。

夢だった知能を手に入れたチャーリー。

だけれど憧れは現実にならなかった。

今まで見えなかった、汚れた世界が見えてくる。


自分が友人と思っていた人達から、笑いものにされていたこと。

母は、妹は、自分を恥ずかしいと思っていたこと。

自分は実験されるだけの、モルモットであったこと。


突きつけられる現実に、居場所をなくしてしまうチャーリー。

本当に大切なものは何だったのか。

自分は自分なのに。

以前の自分をだれも人間と認めていなかったのだろうか。



私の大好きな本で、久々に読みましたが、同じところで号泣。

心のツボは変化しないんだな、と変な所で納得です。

ここが、ああだこうだ、なんてとても言えない。

ただ、心を持っていかれてしまって

チャーリーの心の揺れが、真っ直ぐに胸を突きます。


1959年中編小説が発表され、ヒューゴー賞受賞

1966年に長編小説化され、ネビュラ賞受賞(この作品は長編の方です)


押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
17:00 海外の作家 | コメント(16) | トラックバック(0)
 | HOME | Next »

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。