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切羽へ / 井上 荒野

2012/09/11
4104731021切羽へ
井上 荒野
新潮社 2008-05

by G-Tools

夫以外の男に惹かれることはないと思っていた。

彼が島にやってくるまでは……。

静かな島で、夫と穏やかで幸福な日々を送るセイの前に、ある日、一人の男が現れる。

夫を深く愛していながら、どうしようもなく惹かれてゆくセイ。

やがて二人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく。

「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所のこと。

宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった美しい切なさに満ちた恋愛小説。

第139回(平成20年度上半期) 直木賞受賞 出版社 / 著者からの内容紹介



あらすじを見ると、運命に翻弄される不倫物語のようですね。

そこは井上荒野。

実際はグロテスクなお話ではありません。


ほんの些細な変化も、一晩で知れ渡ってしまうような小さな島。

全校生徒10人にも満たない小学校。

白の服にロングスカート。

海は広く、空は青い。


なのに。

エロティックな香りが、隅から隅まで行き渡っている。

ストレートな描写がない分、余計に熱を帯びて感じるのか。

井上荒野が上品な妻を書くと、含むものが多すぎて恐ろしい。

典型的な良妻賢母を、音一つなく歪ませてしまう


作品の主人公より、画家であるセイの夫に目がいってしまう。

妻の心の移ろいを、本当はちゃんと見えている。

冷静な言動のわずかな隙間に、夫の動揺と、不安を感じずにはいられない。

相手の心を視線の動きでそっと探る。

嫌味なくリアルな世界


「なんね?」

「あっちへ行ってみらんね」


島の方言が心地良く、心の小さな変化も読み手にすとんと伝わる。

また、料理の描写は抜群に上手い。

アオサの味噌汁、キビと呼ばれる小さな蟹、素麺までも美味しそう。

サイドが丁寧に書かれ、メインが唐突なのが、この人らしいかなと



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14:23 井上 荒野 | コメント(12) | トラックバック(0)

だれかの木琴 / 井上 荒野

2012/07/06
4344021029だれかの木琴
井上 荒野
幻冬舎 2011-12-09

by G-Tools


「またお店でお会いできるのを楽しみにしています」

平凡な主婦・小夜子が、ふと立ち寄った美容室のスタイリスト・海斗から受け取った一本の営業メール。

ビジネスライクなメールのやりとりは、やがて小夜子に自分でも理解できない感情を生んだ。

だが、自分が欲しいのは本当に海斗なのだろうか……。

明らかに常軌を逸していく妻を、夫である光太郎は正視できない。

小夜子のグロテスクな行動は、やがて、娘や海斗の恋人も巻き込んでゆくが――。 内容紹介より



あらららら。

怖いですね。

誰も死なないし、泣かないけれど。

妻がストーカーへと静かに変貌します。

速度が速くて面白く、一気に読んでしまいました


夫を愛しているのに。

自分も愛されていないとは言えないけれど、何かがズレ始めた二人。

満たされない思いが募る小夜子。

夫を追っていたはずなのに、気が付けばその思いはすり替えられ、美容師の海斗に執着していく。


ストーカーの一線を越えるのに、分かり易い線引きはない。

若干不可解に感じていたことが、次第に確信へと変わり、気が付いた時には手を付けられないことになっている。

追い方が上品だから怖い


静かに落ちていく妻。

妻の姿を直視せずに回避しようとする夫。

追い詰められていく海斗。

すべてから一定の距離を置いた視点で、淡々と書いているのが良い。


ヒステリックにはならない。

周りに理解を求めることなく、ただ静かに壊れていく。

誰にでも起こりうることを、誰にでも起こりうる範囲で、美しく書かれている。

だから皮肉にも感じるし、薄ら寒い空気が流れる

誰でも良かったっていうのがいいな。



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11:25 井上 荒野 | コメント(4) | トラックバック(1)

誰よりも美しい妻 / 井上 荒野

2012/04/29
483871632X誰よりも美しい妻
井上 荒野
マガジンハウス 2005-12-15

by G-Tools


ヴァイオリニストの夫、そして夫の先妻と若い愛人。

息子とその恋人―

誰よりも美しい妻を中心に愛の輪舞が始まる。

恍惚と不安、愛と孤独のあいだをゆるやかに。

内容(「BOOK」データベースより)



出だしで躓きそうになった。

あまりにもお洒落過ぎる朝食風景が、妙に鼻についてしまう。

だが、そんな気持ちはすぐになくなった。

美しい妻の園子は、そんな日常にこれっぽっちも固執していないから。


夫の度重なる浮気に、嫉妬の感情を露わにすることもなく。

バレエを習い、夫の望む通りの手料理を作る美しい妻。

ヴァイオリニストの夫、惣介はまさに子どものような男。

友人に交えて、浮気相手の女を嬉しそうに自宅に連れてくる。


美しい妻をみんなに自慢したい感情と。

自分のお気に入りの女を、妻にも見せて褒められたい感情と。

二つの感情で心が一杯で、浮気がばれていることに、本人だけが気づいていない。

馬鹿な男であるが、憎しみが一周回って、可愛くも映ってしまう。


夫は浮気を繰り返しながらも、妻が自分を愛していないと不安でたまらない。

妻は自分が居なくなると、夫は死んでしまうだろうと確信している。

ある意味幸せな二人…なのか?


現実問題こんな夫婦が存在していたら、ちょっと鬱陶しいけど。

こんなに愛されてみたいし、愛してみたいし。

なんとも色っぽい世界観です。


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12:08 井上 荒野 | コメント(0) | トラックバック(0)
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