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明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち / 山田 詠美

2014/07/18
明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち
(2013/02/27)
山田 詠美

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ひとつの家族となるべく、東京郊外の一軒家に移り住んだ二組の親子。

澄生と真澄の兄妹に創太が弟として加わり、さらにその後、千絵が生まれる。

それは、幸せな人生作りの、完璧な再出発かと思われた。

しかし、落雷とともに訪れた“ある死”をきっかけに、澄川家の姿は一変する。

母がアルコール依存症となり、家族は散り散りに行き場を失うが―。

突飛で、愉快で、愚かで、たまらなく温かい家族が語りだす、愛惜のモノローグ、傑作長篇小説。内容(「BOOK」データベースより)



兄妹全員が幼稚園から付属の私立校に通い、センスのいいアンティークの家に住み、母の焼いた手作りケーキでお茶をする。

笑顔の絶えない、絵に描いたようなおしゃれで美しい家族。

子連れどうしの幸せな再婚。

複雑な血の繫がりを埋め合わせるよう、丁寧に重ね合わせた完璧な家族。


母が愛した長男が落雷で命を落とし、キラキラした家族の形が一気に色を失ってしまう。

美しい思い出のままで、永遠に年をとらない兄だけを愛し続ける母。

母の代わりに家族の責任を負い、家計も家事も担う姉。

死んだ兄の身代わりになろうと、自分を捨て、母のためにピエロになりきる弟。

悼む家族の輪に加わりきれない、幼い妹。


残された子ども達は、永遠に一番になることが出来ず、兄以上に幸せになることはできない。

目の前にある死を直視しないように生きてきた、家族に残ったしこり。

亡くなってしまった大切な人を、「亡くなった人」として受け入れるまでにかかる時間は、本当に長いものなのだろう。


山田詠美さんの作品は、言葉選びと描写が美しいので、どろどろとしてしまいそうな苦悩も、どこか澄んで見える。

それと同時に、澄んでいるが、心の中まで見通せた気がしない不安定さも、山田詠美さんらしいなと思う。

登場人物それぞれの語りなのに、言葉に表せない気持ちがまだまだありそうな気がする。

残された彼らには、まだ堪えているであろう淋しい部分が感じられ、なんとも胸が痛い。



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12:28 山田 詠美 | コメント(0) | トラックバック(0)

ジェントルマン / 山田 詠美

2012/03/27
4062173867ジェントルマン
山田 詠美
講談社 2011-11-26

by G-Tools


眉目秀麗、文武両道、才覚溢れるジェントルマン。

その正体―紛うことなき、犯罪者。

誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。

その姿をどこか冷ややかに見つめていた同級生の夢生だったが、ある嵐の日、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃してしまう。

それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった―。

その背徳にすっかり魅せられた夢生は、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓う…

比類なき愛と哀しみに彩られた、驚愕のピカレスク長篇小説。 内容(「BOOK」データベースより)



女性写真家アニー・リーボヴィッツによって撮られた雑誌のカヴァー。

素っ裸のジョン・レノンが、ヨーコ・オノに絡み付くようにして頬に口づけている。

この写真がストーリーに見事に融合する、強烈な印象を残す恋愛小説。


完璧な高校生、漱太郎。

誰にも優しく、親切で、スポーツ万能、もちろん格好良い。

女子に人気があるのは当然。

嫌味にならない程度に自分を落とす術を備え、男子にも人気がある。


ゲイである同級生の夢生は、漱太郎の犯罪を偶然目撃し、隠された残虐な表情に魅了されてしまう。

自分しか見ることの出来ないもう一つの顔。

秘密を共有する甘さの虜となり、喜びに打ちひしがれる。


容赦のない理不尽さで女性の体を傷つけ、罪悪感の欠片もない漱太郎。

著者の作品の中で初めて読んだのがこれだったら、出だしで挫けてしまったかもしれない。

嫌悪感を感じる人も多いと思う。


山田詠美の不思議なのは。

薄笑いを浮かべた悪意で始まったものが、結局はどの角度から見ても純愛物語に仕上がること。

矛盾から産み出された想いは、歪んで混ざってなお美しい

誰が誰を思う姿も、こんなに哀しいか。


言葉が豊かで無駄がなく、そぎ落とされた印象を受ける。

終わりまできっちり。

むせ返るような匂い、完璧な愛

とても読み応えのある作品です。


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21:23 山田 詠美 | コメント(8) | トラックバック(0)

トラッシュ / 山田 詠美

2012/03/21
4167558017トラッシュ (文春文庫)
山田 詠美
文藝春秋 1994-02

by G-Tools


人を愛した記憶はゴミのようには捨てられない。

黒人の男「リック」を愛した「ココ」。

愛が真実だったとしたら、なぜ二人は傷つき別れなければならなかったのか。

男、女、ゲイ、黒人、白人―

ニューヨークに住むさまざまな人々の織りなす愛憎の形を、言葉を尽くして描く著者渾身の長篇。

女流文学賞受賞。 内容(「BOOK」データベースより)



初めて山田詠美を読みましたが、言葉が強くて内容は濃密。

一筋縄ではいかない。

戦いであるかのような激しい愛と、弱い者同士のこんがらがった縺れが、同一線上に並ぶ。


丁寧に紡ぎあげられたセリフは、引用したくなる印象的な言葉で溢れている。

だからこそ、どれがと選べず何にも引用できなかった。

徹底的に男と女のグロさと脆さに浸れるが、逆に逃げ場はない

向き合えば向き合うほどに、長く胸に残るものがある、繰り返し読みたいと思える恋愛小説です。


相手の弱さに愛を与えることで、自分の存在価値を見出してしまう日本人女性「ココ」。

愛していると言われる度に、その愛を失う怖さに耐えられず、酒に逃げてしまう黒人男性「リック」。

彼らの人格を作り上げてきた過去は、どんなに相手を想っても、同時に追いつめる要素を持っている。


アル中で帰ってこない男なのに、自分が追い詰めているのに、愛しているが故に捨てきれない。

泣いても喚いても、同じ世界に存在できない悲しさを、もがきながら乗り越えてゆく。


別れたアル中男でも、トラッシュに捨てることなんてできない。

この過去が、今の自分を形作ってきたのだから。

綺麗な思い出なんて、数えるほどしかないかもしれない。

それでもそれでも。

一つ一つの想いに無駄な事なんて何にもなかったと思わせてくれる。


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14:38 山田 詠美 | コメント(2) | トラックバック(0)
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