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少年H / 妹尾河童

2014/11/06
少年H(上) (講談社文庫)少年H(上) (講談社文庫)
(2012/09/28)
妹尾河童

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少年H(下) (講談社文庫)少年H(下) (講談社文庫)
(2012/09/28)
妹尾河童

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胸に「H.SENO」の文字を編み込んだセーター。

外国人の多い神戸の街でも、昭和12年頃にそんなセーターを着ている人はいなかった……。

洋服屋の父親とクリスチャンの母親に育てられた、好奇心と正義感が人一倍旺盛な「少年H」こと妹尾肇が巻き起こす、愛と笑いと勇気の物語。

毎日出版文化賞特別賞受賞作。内容紹介



とても好きな本の一つ。

息子の学校の課題図書だったので、私も久々に読みたくなり再読です。


どうして、命より大切な息子を戦場に送り出すのに、涙をこらえて万歳と言うことができたのであろうか。

戦争について学んだとき、多くの人が感じる疑問だと思う。

小学校の頃、「そう言わなければいけない時代があったのです」と、先生が教えてくれた記憶があります。


日本のかたちが急激に方向を変えたとき、本当のところ何を思い、何を不安に感じておられたのだろうかと。

多くの本を読み大人になった今も、やはり当時の人に尋ねてみたくなる。

この物語は、私が感じた多くの疑問を、妹尾少年が大人たちに問うて、答えを探してくれているようです。



「少年H」で私が特徴的だと思う点が二つあります。

一つ目は、悲惨な戦争を描いているはずなのに、冒険小説のようなユーモア溢れる物語であること。

戦争を描いた物語を読むのは大人でも勇気が要り、特に子どもたちに読ませるには、なかなか難しかったりする。

「少年H」はなんとも憎めない愛らしい少年で、物語に引き込ませるテンポの良さがある。

いたずらをしていたごく普通の少年が、少年は少年のままなのに、周りが急激に変化し、戦争へ巻き込まれていく怖さ。

本人の意思ではどうにもならない恐ろしさを、少年の目線で感じさせてくれます。


もう一つは、少年Hの家庭が、戦前から様々な外国人を交流のある、港町神戸のクリスチャン一家だったこと。

戦争前から様々な人と日常的な付き合いがあり、外国人に偏見がない珍しい家庭です。

俯瞰で見れる冷静さを持つ、争いごとを好まない父と、何にでも首を突っ込んでしまう、少々はた迷惑なクリスチャンの母。

個性的な二人もまた面白い。


軍国主義まっしぐらの中、大人たちに「なぜ?」「どうして?」と問い続けた「少年H」は、答えを得ることが出来たのだろうか。

- 戦争って一体なんだったのだろう -

もしかしたら、戦争がいかに得体のしれないものであったかを、思い知らされただけかもしれない。

それも現実だからこそ、戦争とは何かを真っ直ぐ問う、大人にも子どもにも伝わる作品なのだと思います。



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10:39 さ行 その他の作家 | コメント(0) | トラックバック(0)

狭小邸宅 / 新庄 耕

2014/07/28
狭小邸宅狭小邸宅
(2013/02/05)
新庄 耕

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戸建物件を売る不動産会社に勤める「僕」。

ノルマ、容赦ない上司の罵声。

そこは売上という結果以外、評価されない過酷な職場だった。

戦力外通告を受けた異動先の営業所でも辞職を迫られるが、ある日幸いにもひとつの物件が売れ、周囲からも徐々に認められ、自身も変わっていく のだが……。

第36回(2012年) すばる文学賞受賞  内容紹介



明王大学出身で、不本意ながら不動産会社に勤める主人公。

エリート意識が強く、中堅の不動産会社に就職するなんてありえないという周りの反応からすると、相当の大学出身なのだろう。

著者の出身大学が慶應なので、その辺りをイメージして描かれているのだろうかと想像していました。


「売上を上げろ」「電話をかけろ」「サンドウィッチマンになって街頭に立て」

暴言を吐き続ける上司、暴力も日常茶飯事で、次々と辞めていく同僚たち。

分かりやすいほどのブラックさで、パワーハラスメントの要素はすべて満たしている。

後半良き上司に出会い、不動産業のイロハを教わり、テクニックを身に付けるところから、テンポがぐっと上がります。

不動産業の裏事情が数多く披露され、家を買う前に読んでおくと、安易に騙されなくすみそうです。


しかし、人物描写が全て薄くて、なかなか感情を移すことはできない。

自分で考えない、自分の非を認めない、常に人を見下している。

そんな魅力的ではない主人公に、なぜ女性が寄ってくるのかも不思議。

色素が感じられない都合の良い女性像もまた、深く描き切れていないのが残念です。


物語の客層は、予算7000万程、都心目黒辺りの閑静な住宅地で、戸建てを望むエリート意識が強い家族。

予算はとても高く感じられるが、目黒だ世田谷だと望んでしまえば、7000万では狭小住宅と言われるペンシルハウスしか建てられない。

地域を譲れなかったり、広さを譲れなかったり、利便性を譲れなかったり。

7000万の予算を持っていても、我の強さや、見栄の張り合いで、余計に貧しく感じる気持ちの悪さ。

そんな家族を見下す主人公。

著者が本質的に持っている視点がそこにあるような気がして、少し恐ろしさを感じます。


読後、読み残しがあるような違和感を感じさせる終わり方。

印象的なずれを残すこともまた狙いが強く感じられ、物語そのものを表しているようです。

楽に読める内容で、一晩でさらっと読めてしまう。

軽く楽しい物語ではありますが、若干の後味の悪さが残ります。



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13:01 さ行 その他の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)

和菓子のアン / 坂木 司

2012/03/07
4334927068和菓子のアン
坂木 司
光文社 2010-04-20

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やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。

デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。

プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。

あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか。 内容(「BOOK」データベースより)



デパ地下の内情を交えつつ、和菓子トレビアをふんだんに盛り込んだ青春小説。

私の感覚で表すなら、「ストレスフリー!!」

忙しい時期に合間で読んでいた私には、気楽でたいそう心地良かった。


デパ地下はネタの宝庫。

誰が読んでも気軽に興味が持てる世界で、バックヤードを覗き見する感覚はワクワクする。

その上和菓子に関するネタはかなり深く、知らないことばかり。

例えば「おはぎ」の名前は、季節などに合わせて七変化するそう。

まずは一般的なところで春ならばぼた餅、秋ならばおはぎと名前が変わる。

これは牡丹と萩からきているんだが、この二つはまったく同じものだ。


おはぎとぼた餅の名が、萩と牡丹から来ているなんて知らなかった。

身近にあり過ぎて気づいていなかったことが、意外とあるものですね。

和菓子の名前だけでなく、地方による餡の違い、昔の人の言葉遊びなど、雑学好きにはかなり楽しい。


登場人物は少し癖がある善人で、個性がしっかりと書かれ、映像化しやすような設定。

中高生にお勧めの本としても紹介されているのがよく分かる楽しさです。


ただまぁ、あとがきを読んで驚いた。

著者はこの作品を「和菓子を題材にしたミステリ」として書いたのだそう。

こっ、これは、ミステリなのか!?

確かに謎はある。

だがこれは、想像力をフル回転したカンの良い人のお話であって、ミステリだとは思わなかった。

ミステリと言ってしまえば弱いが、若干謎解きめいたものもある青春小説としたら、とても楽しい。

そう思ったんだけど……失礼かな。


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19:58 さ行 その他の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)

超訳 ニーチェの言葉 / 白取 春彦 (翻訳)

2010/11/23
488759786X超訳 ニーチェの言葉
白取 春彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-01-12

by G-Tools

二十世紀の哲学思想に多大なる影響を与えた、十九世紀ドイツの哲学者ニーチェ。

彼は、ほとばしる生気、不屈の魂、高みを目指す意志に基づいた、明るく力強い言葉を多数残している。

本書では、それらの中から現代人のためになるものを選別した。

心ゆくまで、あなたの知らなかったニーチェの世界を堪能していただきたい。

「今のこの人生を、もう一度そっくりそのままくり返してもかまわないという生き方をしてみよ」

「死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう。いつかは終わるのだから、全力で向かっていこう」 (内容紹介より)




ニーチェでは敷居が高いがこれなら読める。

この本の中で、私が好きなのものをご紹介します。

「安易な人生を送りたいなら」
この人生を簡単に、そして安楽に過ごしていきたいというのか。
だったら、常に群れてやまない人々の中に混じるがいい。
そして、いつも群集と一緒につるんで、ついには自分というものを忘れ去って生きていくがいい。


「1日の終わりに反省しない」 
仕事を終えて、じっくり反省する。自分や他人のアラが目について、ついにはウツになる。
なぜかというと、冷静に反省したりしたからなどでは決してない。
単に疲れているからだ。
疲れているときは反省したり、振り返ったり、ましてや日記など書くべきではない。
何かに夢中になっているとき、楽しんでいるとき、反省したり、振り返って考えたりしない。
自分をダメだと思ったときは、疲れている証拠だ。
そういうときはさっさと自分を休ませなければいけない。



ニーチェを愛している方は全否定でしょう。

ソフトで日本人好みの言葉ばかりをチョイスしているわけですから。

解釈は自分で解釈するから心に入るわけで、人が並べ直して解釈したものを読むのは不快だと思います。


そして、私のようにニーチェを解釈するほど読めていないものには面白い本です。

ニーチェと言うより、気持ちの持ちようを変えてくれる、気分転換の本です。

そういう意味では心地よく、内容はかなり充実しています。


ツボに入る言葉は、きっといつの時代も同じなのですね。

突き放して叱ってもらうと、心の目が覚める。

いい言葉に出会うと、心の持ちようが変わる。

枕元に置いて、たまにパラリとめくりたくなる本です。


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15:00 さ行 その他の作家 | コメント(9) | トラックバック(0)
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