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ロスト・ケア / 葉真中 顕

2014/05/26
ロスト・ケアロスト・ケア
(2013/02/16)
葉真中 顕(はまなか・ あき)

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社会の中でもがき苦しむ人々の絶望を抉り出す、魂を揺さぶるミステリー小説の傑作に、驚きと感嘆の声。

人間の尊厳、真の善と悪を、今をいきるあなたに問う。

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 内容(「BOOK」データベースより)



そうか、この作品はミステリなのか。

介護の問題を丁寧に描いた作品であるが、ミステリを読んだという気にはならなかった。

トリックとしてはあまりにも陳腐なので、その辺りには目をつぶって読んだ方が良いと思う。

特にミステリという看板を背負わせず、介護を伝える読み物としてなら、高校生ぐらいにもお勧めできる作品です。


介護の問題は、語る人の立ち位置によって変わってくるものだと痛感しました。

介護される人の尊厳を語ることが出来るのは、有料老人ホームに親を入れることが出来るような安全地帯の人。

日々ギリギリのところで介護をしている人にとって、「人間の尊厳」と声高に言われても、どうすることもできない。

大切さは心底分かっていても、現実問題、そこまで心に余裕を持てない。


介護のために仕事をやめなければならない人。

日中介護が必要だと分かっていても、お年寄りを一人残して、外に働きに行かねば生活できない人。

暴れてしまったとき、縛らなければどうにもならない瞬間もある。


優しくなどなれない。

殺してしまうかもしれない。

ギリギリの生活をしている人に、安全地帯からものを言うことができるのだろうか。


この作品では、人の尊厳、介護者の生活、心の問題、ヘルパー業の苦悩、多くのことが問題定義されている。

安楽死を認める国があり、認めない国があり。

考えさせられることが多くありました。

自分ならどうすることが出来るだろうかと。


望まれての安楽死と、他人が判断した安楽死では、全く意味合いが異なってくる。

そういう意味で、物語で行われる罪を支持する気持ちにはなれないが、救われたと感じる人もきっと存在するだろう。

タブー視することなく考えることは大切。

ラストはピントがぼやけてしまい物足りなくもありますが、読みやすいので介護を知るきっかけにいいと思います。



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21:32 は行 その他の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)

なずな / 堀江 敏幸

2013/11/14
なずななずな
(2011/05/02)
堀江 敏幸

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私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に。

ひょんなことから授かった生後2ヶ月の「なずな」。

かけがえのない日々とかけがえのない人々を描く待望の長編“保育”小説。

2012年 第23回伊藤整文学賞



40代半ばの独り身の男。

突然弟夫婦が入院し、生後2ヶ月の姪、なずなを預かることになる。

赤ん坊のことなど何も分からず、全てが未経験で、育児書片手に奮闘するしかない。

地方紙の記者としての仕事は在宅に切り替え、恐る恐る子どもにミルクを作りオムツを替える。


内容は本当にただそれだけのことかもしれない。

子育てをしているなんて大層なことではなく。

なずなの命を、毎日一生懸命に守っている。


近所の小児科医一家、バーのまま、会社の上司…

目の下に隈を作り不器用そうに子供を抱える男に、見るに見かねた周りの大人たちが手を貸そうとする。

とても優しく静かな物語。


読み初めはいずれ山場が訪れるだろうと思っていたが、一向にそういった気配がない。

この山場のなさが、まさに育児の世界だと思った。

なずなのしていることといったら、「ほぉ」「あ」「はっ」と声を発し、盛大に下から出しているだけ。


育児は実際華々しくなくて、毎日同じことの連続で。

その連続に携わる周りの人々を、知らず知らずの内に取り込み、少しずつ幸せな気持ちにさせていく。

イクメン物語のアイテムとしてのなずなだったはずなのに、なずなそのものの存在感だけで、後半は物語をコントロールしてしまう。

純文学的な美しさが紡ぐとてもささやかな物語。



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11:12 は行 その他の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)

ひゃくはち / 早見 和真

2011/09/17
4087712338ひゃくはち
早見 和真
集英社 2008-06-26

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新聞記者・青野雅人は、転勤先に一緒に行こうと恋人の佐知子を誘うが、二人は付き合い始める前から知り合っていたという事実を打ち明けられる。

混乱する雅人は、必死に記憶を辿る。

雅人の脳裏に否応なく封印したはずの過去が蘇る。

神奈川の超名門高校の補欠部員として、必死にもがいていた3年間。

甲子園に行きたい。そう誰よりも強く願い、一方でタバコ、飲み会、ナンパ、酒……。

ごく普通の高校生としての楽しさも求めていた。

ここに描かれるのは、人口に膾炙される「爽やか甲子園球児」ではない。

108あるという「煩悩」を全開にして夢にすがり、破れ、一番大事なものに気づいていく補欠球児の姿を活写した物語である。 内容紹介




映画化もされ、胸キュンとの触れ込みで読んでみましたが、笑えるほど軽かった。

軽いぞ。

それもいいのではないか。

中高生が読んですんなり入る話であり、大人が読んで若干拒否反応を示す薄さ。

これがそのまんま、真っ当な世代感のズレ。


高校球児も本当は煩悩だらけ。

決して青春を背負った純朴野球少年ではないんだよ

その狙いはとても面白い。


繰り返される、飲酒、喫煙、合コン生活。

自分が高校生の時も、周りは似たり寄ったり。

それが不思議なことに、高校球児にはそんな高校生像を重ねることができない。

球児のピュアな涙が刷り込まれているのか、「そんなのしないでー」と思ってしまう、大人になっちまった私。


彼らを縛っているのは、私のような世間一般の目。

その目から逃れるように自由時間を満喫していたはず。

だけど本当のところは、自分たちも「高校球児像」に縛られていた。


甲子園を目指すのは、チームの為か、自分の為か、それとも…。

本当に大切な選択が何であるか、見失ってしまう彼らの若さ。

縛られていると思っていたが、その足枷は自分自身がはめていたのかも知れない。

ちょっと皮肉な青春。


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08:40 は行 その他の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)
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