08月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09月

スポンサーサイト

--/--/--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- スポンサー広告

殺人出産 / 村田 沙耶香

2015/03/13
殺人出産殺人出産
(2014/07/16)
村田 沙耶香

商品詳細を見る

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい―。

そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。

育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。

素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。

それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない…。

三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。

普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。 内容(「BOOK」データベースより)



読み終わって、とにかく気持ち悪さが残る。

あらすじにある「普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集」とあるのですが、素晴らしく上手い表現。

今の当り前を根本的にひっくり返して、見たことのない常識(読み手にとっては非常識)を強引に突きつけられる。


医療がどんどん発達して、男性にも人工子宮が装着でき、人工授精で男性も出産が可能となる。

男も女も関係なく、10人産めば、1人殺しても良いという法律。

殺したい人がいるなら、10人を人工授精で産んで、法で守られた中、相手を好きなように殺せばいい。

10 - 1 = 9

9人も増えるなら、1人ぐらい殺したっていいよね、ってことだ。

現在の少子化問題を解決しなければ、いずれこんな世の中になってしまうかもしれないと、問題定義しているのだろう。


人工授精の先に、人工子宮が可能となるのなら、性別すら関係なくなる…

そこまではイメージつして繋がるのだが、村田さんの作品には「人を育てる」という行為が存在しない。

最初から最後まで「産む」であり、命について書けば書くほど、重みを失い軽くなるよう。


生命に人の手をどこまで介入させるべきか。

倫理的な問題と、SF的な創作の部分が交わるには、自分の感情が入ってしまうので、難しいものがありました。


ちなみに、「殺人出産」の他にあと3篇収録されているのですが、それがまたしんどい。

今の常識を過去のものとして作り出された世界の常識を前面に押し出してくるのだが、そこにたどり着いたプロセスが見えない。

3人の恋愛が主流となる「トリプル」は特に強烈で、なかなか直視できない世界でした。


押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
スポンサーサイト
13:47 ま行 その他の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 / 森 光子

2014/08/29
吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)
(2010/01/08)
森 光子

商品詳細を見る

「もう泣くまい。悲しむまい。復讐の第一歩として、人知れず日記を書こう。それは今の慰めの唯一であると共に、又彼等への復讐の宣言である――」。

親の借金のために吉原へ売られた少女・光子が綴った、花魁・春駒として日々、そして脱出までの真実の記録。

大正15年に柳原白蓮の序文で刊行され、娼妓の世界に、また当時の社会に波紋を呼んだ告発の書。

(解説・斎藤美奈子) 内容紹介



以前に読んだ林真理子の「白蓮れんれん」はとても好きな作品。

大正天皇の従妹である歌人:柳原白蓮が、政略結婚の相手から逃げ、7歳年下の男の元へと逃げた話でした。

最近になって柳原白蓮さんが、借金の為に吉原へ売られた女性たちの開放を手助けしていたと知りました。

吉原遊郭から命がけで逃げてきた花魁が、当時小説家として有名であった柳原白蓮の元へ助けを求めてきた。

戸惑いながらも花魁の手助けをしたことがきっかけで、その後も娼婦の救済活動は続けられたそうです。


この作品は柳原白蓮に助けられ花魁:森光子が廓で書いてきた日記をまとめたもの。

仕事内容は東京での給仕だと騙され、借金のかたに吉原へ売られたのが19歳。

どれだけ身を傷つけられても借金は一向に減らない。


収入のほとんどを楼主に持っていかれ、残りのわずかなお金から髪結い代、着物代などは自分で支払わなければならない。

売上を吸い上げ、諸費用で吸い上げ、一度売られた花魁は、いくら努力をしても抜け出せない恐ろしい仕組み。

何も知らなかった彼女たちが、自分の置かれた境遇に気が付き、嘆き苦しむ姿がいたたまれない。


人生に絶望しながら、復讐として一人隠れて日記を書き続けた「春駒」こと森光子。

あまりの理不尽さに書く事さえできなくなる時もあるが、「書く事は妾(わたし)を清める」と心に言い聞かせ書き続けていた。

心だけは美しく純粋でありたいと願い生きるが、自分が汚れてしまったことを一番感じているのは自分自身で。

ごく普通の母と娘が幸せそうに歩いている姿を見ると、もうあの世界には戻れないのだと嘆く姿が、辛くてなりませんでした。

遊廓の中でも友情があり、愛する人があり、夢があり。

心持ちの綺麗さがかえって際立つ作品でもありました。


押していただけたら、とても幸せです。
宜しければ、応援ポチどうぞよろしくお願いします。
    にほんブログ村 その他日記ブログ のほほんへ
14:09 ま行 その他の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)
 | HOME | 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。