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ナイフ / 重松 清

2013/05/11
ナイフナイフ
(1997/11)
重松 清

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「悪いんだけど、死んでくれない?」

ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。

僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!

ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。

ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。

子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。

失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。

その闘いは、決して甘くはないけれど。第14回(1998年) 坪田譲治文学賞受賞 内容紹介



小中学生の逃げ場のない残忍なイジメを、子どもの目線で描いているのだから、最初から最後まで読んでいて辛い。

この年齢の子を持つ親なら、きっと私と同じように、続けて読むことさえしんどく感じると思う。

久々に重松清の重い作品にのまれました。


親には絶対に知られずに、自分だけで解決しようと我慢し続ける娘。

逃げ出したいと思っているのに、強くなれと励まし続ける父。

ひたすらイジメに耐えながらも、強いクラスメイトに憧れの気持ちを抱いてしまう矛盾。

息子を守りたい必死の思いと同時に、過去の記憶から恐怖で足がすくんでしまう父。


我が子がイジメにあっていると知ったのなら、親は今すぐに何が何でも救い出したいはず。

けれど、被害にあう子はみんな、親にだけは絶対に知られないように必死だ。

その気持ちが理解できても、耐え続ける姿が苦しくてならない。

子どもの世界には子どもの世界専用のルールがあって、そこから逃げ出すことの難しさを痛感しました。


「ナイフ」は、小中学生向けのお勧め図書として紹介されていることが多い。

先日も中学受験対策問題として、作中の「エビスくん」が出題されていました。

抜粋としてならとても良い作品だと思う。

けれど全体を通して読むなら描写が厳しいので、小5の息子には読ませられないと思った。


小学生が隣の席の子を、笑いながらコンパスで刺し続けるのだ。

血が出ている太ももを、何度も何度も。

それでも惹かれあう心理は痛々しすぎて、私自身気持ちが寄り添いきれなかった。

涙が止まらなかったし、感動もするけれど、何故そこまでとの気持ちが上回る。


全体を通して、イジメのシーンは壮絶。

あまりの仕打ちと軽さとゲーム感覚の残酷さに、中学生が読んでも苦しいと思うので、率先してお勧めは出来ない。

綺麗事ではない分覚悟はいるが、親としてのあり方を考えさせられる踏み込んだ作品です。



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12:17 重松 清 | コメント(2) | トラックバック(0)

気をつけ、礼。 / 重松 清

2011/09/10
4104075094気をつけ、礼。
重松 清
新潮社 2008-08

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僕は、あの頃の先生より歳をとった―

それでも、先生はずっと、僕の先生だった。

受験の役には立たなかったし、何かを教わったんだということにさえ、若いうちは気づかなかった。

オトナになってからわかった…

画家になる夢に破れた美術教師、ニール・ヤングを教えてくれた物理の先生、怖いけど本当は優しい保健室のおばちゃん。

教師と教え子との、懐かしく、ちょっと寂しく、決して失われない物語。

時が流れること、生きていくことの切なさを、やさしく包みこむ全六篇。 内容(「BOOK」データベースより)




子どもの頃、大人はみんな完璧な人間だと思っていた。

自分が親になってみて、まぁこんなに不完全なものかとがく然とする。

先生なんて、「先生」の枠を超えたことはなかった。

いつも強くて、立派で、ちゃんとした大人。

先生の年を超えてしまった自分は今、先生の気持ちが少しわかるようになっただろうか。


重松清ですから、大人になった生徒たちも、中年のかっこ悪さが漂う。

卒業して見えた先生の気持ち。

ずっと後ろめたく思っていた先生の過ち。

先生も生徒もまだまだ不完全だけど、心はしっかり優しい大人になっていた。


一番好きなのは「ドロップスは神さまの涙」。

作中出てくる「ドロップスのうた」は、子供が幼稚園の時に歌っていた懐かしい曲。

神さまが感動したり悲しくなったりして流した涙が、世界中に散らばってドロップスになったという、ちょっと胸に来る歌です。

まどみちおさんの作詞。

短編集の中で、他とは少し違った空気があり、これがとても良かったな。


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12:00 重松 清 | コメント(2) | トラックバック(0)

十字架 / 重松 清

2010/11/22
4062159392十字架 (100周年書き下ろし)
重松 清
講談社 2009-12-15

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中学二年でいじめを苦に自殺したあいつ。

遺書には四人の同級生の名前が書かれていた。

遺書で<親友>と名指しをされた僕と、<ごめんなさい>と謝られた彼女。

進学して世界が広がり、新しい思い出が増えても、あいつの影が消え去ることはなかった。

あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。

背負った重荷をどう受け止めればよいのだろう。

悩み、迷い、傷つきながら手探りで進んだ二十年間の物語。(内容紹介より)




いじめの本ではあるが、被害者、加害者の話ではない。

両親、加害者、教師、マスコミもちろん出てくる。

でもこの話のテーマは傍観者


クラスのみんなが知るところのいじめ。

出来れば止めたいけれど、止めれば自分がいじめられる。

誰かが苛められている間は、自分は安全。

そうして目をそらすことは、彼を生け贄として差し出す行為


きつい話です。

絶対的な悪は存在しない、柔らかい悪の中にある、無関心の残酷さ。

自分の犯した傍観者という罪を、罪と認めることができるか。

そこから出来る償いとはあるのか。

答えが分かりやすくあるのではなく、主人公と一緒になって、やりきれない思いを抱えながら考える。

そんな本ではないでしょうか。


息子を失うとはどれだけの影響を及ぼすものか。

きっと中学生に想像もつかないでしょう。

もちろん私にも。

心を病みながら、ぐらぐらに揺れつつ、かろうじて生きる、残された家族。

その姿は直視できない辛さです。


心にストンと入るわけでもなく、全体的に消化不良な気はします。

上手くまとまらないのが本質なのかも。

どちらにも偏らない、親子で向き合い読める良本です。


私はラーメン屋さんの順番待ちをしながら読んでいて、途中で泣けて泣けて。

連れの勘弁してくれよ…という視線。

しょうがないわさ。


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15:43 重松 清 | コメント(6) | トラックバック(0)

小さき者へ / 重松 清

2010/11/13
4620106623小さき者へ
重松 清
毎日新聞社 2002-10

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お父さんが初めてビートルズを聴いたのは、今のおまえと同じ歳―十四歳、中学二年生の時だった。

いつも爪を噛み、顔はにきびだらけで、わかったふりをするおとなが許せなかった。

どうしてそれを忘れていたのだろう。

お父さんがやるべきこと、やってはならないことの答えは、こんなに身近にあったのに…

心を閉ざした息子に語りかける表題作ほか、「家族」と「父親」を問う全六篇。内容(「BOOK」データベースより)



さらりと読めるボリュームで、心にちゃんと残るものがある。

子を思う不器用な父親を描いた、心優しい短編集です。

一編ずつ、登場する家族構成は違うのですが、性格は似た印象を受けてしまう。

それが重松清らしさでもありますが、もう少し変化球が欲しいかなあ。


長男特有の不器用さで、上手く立ち回ることが出来ない息子。

その気持ちが痛いほど分かる父は、味方となって寄り添おうとする。

でも、上手くいかない。

心で思っているようには振舞えず、つい叱ってしまう。

長男も、ここでニコっと笑って「うんうん。」と言えば丸く収まるところが…出来ない。

もどかしいほどの不器用な親子。

子を大切に思い、考えに考えて口にした言葉が、何度も空回りする。

この悲しさったら…


重松清も長男なのでしょうか。

この辺りのもどかしさの表現がとても上手く、読む自分の心も、もつれそうになります。

お父さんは、おまえにどれだけの愛を与えてきたんだろうな。
「愛すること」と「育てること」とは、どこがどう違うんだろうな。
難しすぎて、よくわからない。


んん~せつないですね。

気持ちが分かるよなんて軽くは言えないけれど、心だけは寄り添ってやりたいと思う。

そんな父親の愛情がじんわりと効いてきます。

毎日を、毎日を、変わらず頑張っているお父さんへの応援歌。


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22:42 重松 清 | コメント(9) | トラックバック(1)

なぎさの媚薬 / 重松 清

2010/11/06
4093796912なぎさの媚薬―敦夫の青春|研介の青春
重松 清
小学館 2004-07

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渋谷の街に現われる娼婦・なぎさ。

情事の後、彼女から渡される媚薬を服んだ男たちはみな、青春時代に戻り、当時憧れていた女性とセックスをする夢を見るという。

しかし、どうしたらなぎさに会えるのかは誰も知らない。

噂では、深い孤独を背負った男だけを、なぎさが選ぶのだという。

そしてなぎさは、仕事や生活に疲れ切った2人の男の前に姿を現わした…

「人生に疲れてしまったら、わかる。思い出の中に初恋のひとがいることが、そのひとの幸せを祈ることが、ささやかな生きる支えになるんだ」。(出版社 / 著者からの内容紹介)



重松清の官能小説になるのでしょうか?

繰り返される性描写連発に、花村萬月じゃあるまいし…とつっ込んでおりました。


なぎさという娼婦に導かれ、媚薬を口にした敦夫。

しかし初恋の彼女は、自分が知らないその後の人生で、不幸の末に自殺していた。

もし自分が望むなら、今から彼女を救い出せると言われたら…


彼女を見るのもセックス、救うもセックスでは、少々男性都合が良すぎるかな。

それでもこの辺り、まるで御伽噺のようで、夢と現実の境界線にいるよう。

男性が望むであろうシチュエーションの連続に、かなり驚きました。

ずいぶん異色な作品かと思いましたが、根底に流れているものはやっぱり重松清。

ご安心を。

いやいや、ちょっと走りすぎかな。

兎にも角にも、最終的には疲れた男達を癒す、あの重松清の優しさが存在しています。

決して不潔ではなく、男のかわいさと純粋さの極み かもしれません。


「なぎさの媚薬」はシリーズ化され、最終章4で連作短編完結です。

最終章では、なぎさ自身の過去にも触れる感動の作品です。

 
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12:10 重松 清 | コメント(9) | トラックバック(1)
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