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オリンピックの身代金 / 奥田 英朗

2013/10/15
オリンピックの身代金オリンピックの身代金
(2008/11/28)
奥田 英朗

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昭和39年夏、オリンピック開催に沸きかえる東京で警察を狙った爆発事件が発生した。

しかし、そのことが国民に伝わることはなかった。

これは一人の若者が国に挑んだ反逆の狼煙だった。

著者渾身のサスペンス大作!

第43回(2009年) 吉川英治文学賞受賞



先日、東京オリンピックの招致活動に成功し、日本は突然お祭り騒ぎとなりました。

前回大敗したにもかかわらず再チャレンジすると石原さんが言ったとき、マスコミはこぞって批判したのに。

手のひらを返したような報道と、本題から目を逸らし歓喜する日本の雰囲気に、少なからず違和感を感じてしまった。


この物語の舞台は昭和39年のオリンピック。

2008年に出版された作品なので、今回のオリンピック招致活動より以前のもの。

ですが、書かれていることは、今の日本にある問題と同じラインにあるように思う。

ストーリーとして楽しくありながら、考えさせられる印象的な作品でした。



秋田出身、東大在学中の島田は、田舎の期待を一身に背負った秀才。

ある日、東京に出稼ぎに出ていた兄が、オリンピック工事に追われる飯場で命を落としたと知らされる。

曖昧な死因。

兄の気持ちを知ろうと同じ飯場で働き、劣悪な環境をさらされる内に、繁栄の陰に隠された日本の現実を目の当たりにする。

東京の発展を支えているのは、何一つ保証のない出稼ぎ労働者たち。

貧困も差別も見えぬように覆い隠し、表面だけ美しく整えられたオリンピック。

この現実を変えるため、島田はたった一人、オリンピックの開会を阻止しようと動き始める。


島田が恩師にあてた手紙にハッとさせられました。


先生は東京オリンピックをどうお考えでしょうか。

わたしは、国際社会への進出ではなく、西欧的普遍思想への無邪気な迎合であると思えてなりません。

急造の建築物に、西欧都市を装いたくてしょうがない東京の歪みが表れています。

そしてその巨大で美麗なコンクリートの塊に、現実の日本は覆い隠され、無視されようとしています。

人民にかりそめの夢を与え、現実を忘れさせようとするのが、支配層の常套手段であるならば、

今のところは成功の道を歩んでいると言えるのでしょうが。



オリンピックが開催されることはとても喜ばしいこと。

私もとても楽しみにしている。

けれど、決して日本は、両手を離して大喜びできる状態ではないとも思う。

そこがどうも引っかかっていたのだけど、奥田さんの言葉で気持ちが少し整理されました。



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16:23 奥田 英朗 | コメント(6) | トラックバック(0)

純平、考え直せ / 奥田 英朗

2013/09/24
純平、考え直せ純平、考え直せ
(2011/01/20)
奥田 英朗

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坂本純平、21歳。

埼玉県東松山市出身。

新宿・歌舞伎町のチンピラにしてみんなの人気者。

心酔する兄貴分の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。

女はちょっと苦手だが、困っている人を見るとほうっておけない。

そんなアナクロな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗殺)。

決行までの三日間、自由時間を与えられた純平は羽を伸ばし、さまざまな人たちと出会う。

しかしその間、携帯サイトではなんと「純平」に関するスレッドが立ち、ふらちな書き込み合戦が白熱していく──。



やくざ界では下っ端。

格好良くて、女に弱くて、ついでに押しにも弱い。

強面にしようとしても、細部のほつれ加減が良く、相手のガードを下げさせてしまう。

そんな純平が、兄貴の為、組の為、3日後に鉄砲玉となることが決まった。


一方、鉄砲玉になろうとしている純平を止めたいと、スレッドを立ち上げた女のせいで、日本全国から無責任な書き込みが殺到する。

鉄砲玉になっても、君の人生はそう変わらないと、忠告する大人。

やれやれと殺人を煽るだけの弱い人間。

仕事がしくじらないようにと、鉄砲の打ち方を教える元やくざ。

被害者の写真の公開を求める悪趣味。

本気で純平のことを心配するものもいるが、どこか偽善者的な匂いがする。


スレッドを読んでいると、彼らは純平の無鉄砲さを羨ましく思いながら、安全地帯から眺めているように思う。

自分に支障がないのなら、もし近所なら、見に行きたいし参加したい。

遠いのなら、被害が及ぶのなら、眠いなら、参加しない。

それだけのことだ。


心から慕う兄貴との約束と、人生をかけようとしている純平と交わるはずはない。

スレッドの会話は、心配するにも馬鹿にするにも、彼らが暇だからだ。

そう思うとなんだかどうでもいいような気がするし。


この物語で奥田英朗は、昔ながらの人情派の不良と、ネットの殻に閉じこもった若者を対峙させたかったのだろう。

その結果は、想像通りといってもいい。

奥田作品の中では私の好みにははまりませんでした。

テンポ良くて話は楽しかったけれど、2回読める本ではない。



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10:58 奥田 英朗 | コメント(2) | トラックバック(0)

沈黙の町で / 奥田英朗

2013/07/08
沈黙の町で沈黙の町で
(2013/02/07)
奥田英朗

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中学二年生の名倉祐一が部室の屋上から転落し、死亡した。

屋上には五人の足跡が残されていた。

事故か?

自殺か?

それとも…。

やがて祐一がいじめを受けていたことが明らかになり、同級生二人が逮捕、二人が補導される。

閑静な地方都市で起きた一人の中学生の死をめぐり、静かな波紋がひろがっていく。

被害者家族や加害者とされる少年とその親、学校、警察などさまざまな視点から描き出される傑作長篇サスペンス。



自分というものが少なく、周りの影響を受けて右にも左にも流されやすい中学生。

掴みどころのなさと、強さと弱さの混在が、とても上手く描かれています。


自分がないから、大きいものに流される。

遊びとイジメの境目が分からなくなり、越えてはいけない一線を、認識なく皆で越えてしまう。

では、「自分がない」今どきの子がいけないのかというと、そうは簡単に言えない。

団体生活において、周りに同化することが出来れば苛められなくて、同化できない子が標的になりやすいのは、事実だから。

流されていることが防御で、防御が攻撃へと変わってしまうことが、本当の恐ろしさだと思う。


イジメの首謀者、被害者、学校、親、教育委員会。

これらの視点で書かれることが多いが、物語で描かれている怖さは、その他諸々の子の存在。

犯罪とは言えない。

傍観者とも言い切れない。

首謀者には絶対にならないが、奥深くに眠っていた残虐性がちらりと顔を出す瞬間が、誰にでもある。

その見せ方が気持ち悪くて怖かった。


被害者の子の視点では一切描かれていないのも、特徴的だと思う。

読者から見ても、被害少年は標的にされても仕方がないと思わせる書き方がなされている。(性格の悪い金持ちのボンボン的な)

その上加害者側は、被害者から裏切り行為を受けたクラスの人気者だ。

苛めるだけの理由を、意識的に端から端まで揃えてある。

加害者側の言い訳材料を並べて、私たちは考えさせられているのだろうか。

だけど私たち大人は、その理由に納得させられてはいけないのだと思う。

たとえどんな理由があっても、正当化される集団暴行はないのだから。



踏み込んだ作品だけに、切り取ったような終わり方が残念でならない。

書かないのは想像しなさいということなのでしょうが、あまりにも余白部分が多すぎる。

加害者も、親も、マスコミも、まだまだ書き込めたと思うので、良い作品の分もったいなく感じました。



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16:16 奥田 英朗 | コメント(6) | トラックバック(0)

噂の女 / 奥田 英朗

2013/05/31
噂の女噂の女
(2012/11/30)
奥田 英朗

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美幸って、知っとる?

この町のどこか夜ごと語られるは彼女にまつわる黒い噂──。

町で評判のちょっと艶っぽいイイ女。

雀荘のバイトでオヤジをコロがし、年の差婚をしたかと思えば、料理教室で姐御肌。

ダンナの保険金を手に入れたら、あっという間に高級クラブの売れっ子ママに。

キナ臭い話は数知れず、泣いた男も星の数――。

美幸って、いったい何者?

愛と悲哀と欲望渦巻く人々を描く、奥田節爆裂の長編小説。 内容紹介



最初はおっぱいが大きいだけだと思ったのに。

こんな小粒な悪女では、一冊引っ張るのは無理があるのじゃないかと心配になりさえした。

なのになのに。


噂の女、美幸は着々と足場を固め、力を付けて、上へ上へと伸びていく。

生命力が旺盛で、堂々とした立ち振る舞い。

フェロモン振りまく女を、同性が共感するのはおかしな話だが、

次々騙されている男たちを眺め、むふふと笑ってしまう。


美幸の視点で書かれることがないので、思惑は全く分からない。

分からないが、分からなくても良いように感じさせる軽さ。

読み手の私も、もっと悪だくんでくれとつい応援してしまった。


奥田英朗らしいなと思う。

軽めに読みたい時、はたまたお金持ちの爺さんに恨みがあるとき、いいかもしれません。



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10:13 奥田 英朗 | コメント(5) | トラックバック(1)

我が家の問題 / 奥田 英朗

2013/01/31
4087714128我が家の問題
奥田 英朗
集英社 2011-07-05

by G-Tools

平成の家族小説シリーズ第2弾!

完璧すぎる妻のおかげで帰宅拒否症になった夫。

どうやら夫は仕事ができないらしいと心配になる妻。

両親が離婚するらしいと気づいてしまった娘。

里帰りのしきたりに戸惑う新婚夫婦。

誰の家にもきっとある、ささやかだけれど悩ましい6つのドラマ。 内容(「BOOK」データベースより)



第一弾の「家日和」は軽いタッチの家族物語。

今作品はさらに深く踏み込みつつ、ユーモアたっぷりの面白い作品でした。


夫を支えようと奮闘する妻。

上手く回せない妻を支えようと奮闘する夫。

両親の為に陰で奮闘する子ども。

とてもささやか。

ドラマティックではない日常の、ささやかな奮闘の繰り返しで、家族は家族として保たれている。


UFOと交信するようになった夫。

そんな夫を心配し、観察し、救出しようとする妻。

捨て身で愛が溢れていて、私は大好きでした。

宗教にハマってしまう物語なら違ったものになるのでしょうが、そこがUFOなのが奥田英朗らしいなと。


何十年も一緒にいると、歩幅がずれてしまう時期は絶対にあると思う。

ずれに気づいて修復しようとする姿は、傍から見たら滑稽に映るかもしれない。

それでも、家族の為に奮闘する姿はとても強くて、羨ましくなるほど温かかった。



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14:04 奥田 英朗 | コメント(2) | トラックバック(0)
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