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細川ガラシャ夫人 / 三浦 綾子

2014/03/31
細川ガラシャ夫人〈上巻〉 (新潮文庫)細川ガラシャ夫人〈上巻〉 (新潮文庫)
(1986/03/27)
三浦 綾子

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細川ガラシャ夫人〈下巻〉 (新潮文庫)細川ガラシャ夫人〈下巻〉 (新潮文庫)
(1986/03/27)
三浦 綾子

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明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、16になった時、織田信長の命令で細川忠興のもとに嫁ぐこととなった。

女性が男性の所有物でしかなく、政略の道具として使われた時代に、玉子は真の人間らしい生き方を求めて行く…。

実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた細川ガラシャ夫人。

その清らかにして熾烈な悲劇の生涯を浮き彫りにした著者初の歴史小説。



戦国の世を生きた女性を主人公とした歴史小説は多い。

その多くは男性作家の手によるもの。

三浦綾子さんの「細川ガラシャ夫人」は、戦のシーンがほとんどないのが特徴的だと思う。

視点は城の奥の間に定め、そこから見た戦国時代は、政略の道具として扱われた女の哀しさが浮き彫りになるようです。


また、ガラシャ夫人の名前を聞く機会はあっても、詳しいことは何も知らなかったので驚くことばかり。

豊臣秀吉も好色ジジイにしか見えなくなってしまった…^^

今までとは違った角度から戦国時代を見れ、とても面白い作品でした。



美し過ぎる妻を案ずるあまり、嫉妬深い夫:細川忠興は、城から妻が出ることを禁じていた。

父、明智光秀ばかりでなく、家族全員を殺されてしまった玉子(後の細川ガラシャ夫人)の孤独は増すばかり。

苦悩の日々の中で信仰に目覚め、嫉妬深くはあるがゆるぎない愛を与え続ける夫の心を理解しはじめる。

自死を禁ずるキリストの教えを守りながらも、夫のため、細川家のため、自らの命を差し出そうとする玉子。

戦国時代の華である戦略と戦の場面がなくても、たった一人の女性の生き様で全てを表すことが出来るのですね。

三浦綾子さんらしさはそのままに、女性たちの心を思うと涙が出てしまう歴史小説でした。



この作品を読む少し前に、たまたまですが、遠藤周作「女の一生」を読んでいました。

「第一部 キクの場合」は、幕府によって切支丹の人々が追われ、長年にわたり壮絶な迫害を受け続けた長崎を描いた作品。

「第二部 サチ子の場合」は長年の禁制が解かれ、信仰が許されたのもつかの間、第二次世界大戦が勃発。

命を大切にすることを深く学んできた人々にとって、殺すことはもちろん、特攻に行くことも出来ない。

愛する人を守りたい気持ちと、大切な教えとの狭間で苦しみ続けた人々を描いた作品でした。


そうか、この時代に繫がっていくのか…

夫人が大切にしてきた心が、間もなく出る切支丹国外追放令によってまた崩れてしまうと思うと、何とも悲しい気持ちになりました。



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13:31 三浦 綾子 | コメント(2) | トラックバック(0)

塩狩峠 / 三浦 綾子

2012/11/01
4103207019塩狩峠
三浦 綾子
新潮社 1968-09

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結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。

声もなく恐怖に怯える乗客。

信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた…。

明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った永野信夫。

彼の愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。内容(「BOOK」データベースより)



若い頃当然読むべきものを読んでいない私は、この本も新鮮な気持ちで読んでいた。

あらすじも何も知らないで。 

物語の最後が悲しくて涙を流して読み終わり、あとがきを見て驚いた。

これは実話をもとにして書かれていたのか… (相変わらず無知です)

三浦綾子にしては説明じみている部分が多いと感じたのは、その辺りのことだったのか。


正直申し上げて、これを実話だと知らずに読んだ方が、今の子はすんなり胸に入ると思う。

実話だと人の心の持ちようが立派過ぎて、道徳教育のようになってしまう。

ヘタしたらキリスト教の布教活動のように捉えられ敬遠されかねない。

そういう一切を抜きにして、三浦綾子の言わんとするものを感じ取れたらいいなと思う。

すごく素敵な物語です。


永野信夫だけでなく、友人も、愛する人も。

思春期に感じる生きることへの悩みに、彼らはとても誠実に向き合おうとする。

人はなぜ生き、なぜ死ぬのか。

死後の世界はあるのかないのか。

どう生きるのが人として正しいのか。

我欲のある自分を恥ずかしいと責め、心がまだまだ弱いとさらに向上しようとする。

忍耐強く己を律し、誰かの為に生きれる自分であろうとする。


信夫は勿論素晴らしいです。

でも友人の吉川が私は好きだなぁ。

足の不自由な妹を心の良き男に嫁がせ、母にささやかながら安心できる老後を送らせること。

これが自分の一番の夢だと、真っ直ぐな目で静かに語る。

私はそこで泣けてしまった。

自分が生まれてきた役割を、背伸びすることもなく、納得して生きている人は美しい。


この物語はキリストを嫌う祖母に育てられた信夫が、キリスト教の信者となり信仰を深め、己の命を投げうつ話。

大切に思う宗教は人によって当然違い、理解し合えないこともある。

ですが、プロセスは違えど遠くに見ているものはきっと同じ。

そう思えたら良いなと思っています。

一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにてあらん、もし死なば、多くの果を結ぶべし。
新約聖書『ヨハネによる福音書』第12章24節

(一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる)



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17:41 三浦 綾子 | コメント(2) | トラックバック(0)

続 氷点 / 三浦 綾子

2012/07/12
4041437059続 氷点 (上) (角川文庫 (5072))
三浦 綾子
角川書店 1982-03

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4041437067続氷点 (下) (角川文庫)
三浦 綾子
角川書店 1982-03

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辻口病院院長家族は当時3歳の娘ルリ子を殺され、養女陽子を引き取り育てていた。

養母夏枝から、18年前にルリ子を殺したのは実の父親だということを知らされた陽子は自殺を図る。

一命を取りとめ、養父啓造から自分は犯人の子ではないという新事実を知ったとき、陽子はより重い罪に悩む…。

さまざまな人間関係が絡まり合い、陽子を中心としてそれぞれが人生の道々で「ゆるし」を乞うのだった。



「氷点」を読んだときは続編があるのに気付かず。

2年ほど空けて続編を読みましたが、あらすじが上手くはめ込まれているので問題なく読めます。

「氷点」のテーマは原罪、「続 氷点」のテーマは赦しでしょうか。

「氷点」は現実世界で起こりえない設定でしたが、そこで乱れたものを一つづつ解きほぐすような行為。


この小説をリアルタイムで読んでいたらどう感じたかは分からないが、今読むと断然面白い。

設定はありえないことだらけで、ドラマティックな偶然も多い。

骨格だけむき出した感じが露骨で、手加減のなさに私は惹かれてしまう。


- 人は人の罪を、心から許すことが出来るのか -

三浦綾子がクリスチャンなので、教会のシーンや聖書からの引用も多い。

聖書の言葉を聞いて、自分が赦されて、もちろん自分も人を赦せるようになりたいと思う。

思うが、出来ない。

心が芯の部分で抵抗する無意識。


赦したいのに赦せない。

そんな自分だから、己の存在を肯定できるはずもなく、苦しみ続ける。

理屈では分かっていても、人間そんなに立派になれないから、

人は教会に通ったり、手を合わせたり、座禅を組んだりするのではないか。

自分で一歩踏み出せるか。

時間のかかり方に個人差はあっても、いつか言葉がすとんと胸に落ちるまで


作中の薬局に貼られていた、ちょっといい言葉。

「ほうたいを巻いてやれないのなら、他人の傷にふれてはならない」



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00:49 三浦 綾子 | コメント(4) | トラックバック(1)

氷点 / 三浦 綾子

2010/09/23
4041437032氷点 (上) (角川文庫 (5025))
三浦 綾子
角川書店 1982-01

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旭川在住の医師辻口啓造は、妻が同僚の医師と密会中に、3歳の娘を殺される不幸に遭う。

啓造は妻を詰問することもできず、内に嫉妬心を秘める。

娘の代わりに女の子が欲しいとねだる妻に対し、啓造はそれとは知らせずに殺人犯の娘を引き取る。

女の子は陽子と名付けられ、妻の愛情を受けて明るく素直に育つ…。

妻への屈折した憎しみと、「汝の敵を愛せよ」という教えの挑戦。

人間にとって原罪とは何かを追求した不朽の名作。



ふと懐かしい作品を読みたくなるのです。

しかし、あらすじだけでドロドロではないですか。

「汝の敵を愛せよ」がテーマの作品ですが、ここまでしますかという強烈さ。


それにしても、三浦綾子の書く女性は控えめで美しい。

そして、はかない弱さの中にどこかぞっとする怖さがある。

人間の弱さも醜さも嫉妬も吐き出し、生きることに向かっていく、むき出しの人間

旭川の雪に埋もれた閉鎖的な世界が、作品をより魅力的にしてくれます。


敬虔なクリスチャンであり、多くの病を抱えて執筆していた三浦綾子。

妻への憎しみをこのような残酷な形で表現した上で「汝の敵を愛せよ」ですからすごい。

いつか自分はこんなに美しく生きられるだろうか。

三浦綾子の作品には人にも筆にも生命力があるなと思うのです。


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18:14 三浦 綾子 | コメント(1) | トラックバック(0)
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