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最果てアーケード / 小川 洋子

2012/10/18
4062176718最果てアーケード
小川 洋子
講談社 2012-06-20

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そこは世界で一番小さなアーケード。

風変わりな品々を扱う店主と、理由あってそこに集まる客たち。

愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。

小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語。 内容(「BOOK」データベースより)



亡くなった人たちの痕跡を、丁寧に切り取り、並べられた店が並ぶアーケード。

遺髪で編み上げられたレース。

亡き老詩人の勲章。

「さよなら」とだけ書かれた古い絵葉書。

動物の剥製を作るための義眼屋。

売られているのは誰かは分からない誰かの足跡。


アーケードは世界の窪みに存在していて、気づかなければ通り過ぎてしまう小さな世界。

もし入り込んで心を奪われる出会いがあったら、そこは永遠に終わりのない最果てのアーケードとなる。

突き詰めて読むと、ふと私もアーケードの迷子になってしまう瞬間がある。

電話がつながらなかった相手、人さらいの時計…

不思議で、真っ直ぐで、死がこんなにも近いなんて。


酒井駒子さんが描かれた装丁が、この作品にしっくりきます。

これは私が好きな酒井さんが手がけられた絵本たち。

何度見ても素敵、大好きです。

赤い蝋燭と人魚 モモちゃんとアカネちゃん (講談社文庫) ビロードのうさぎ ロンパーちゃんとふうせん



「最果てアーケード」は、そもそも漫画の原作として書き下ろされた作品。

最初この話を聞いた時、とても違和感を感じました。

独特の静謐な世界は、漫画に似合わない気がしたから。

今回読んでみて、漫画にしてしまう面白さも十分感じることが出来ました。

有永イネのコミックも、一度覗いてみようかな。

4063761827最果てアーケード(1) (KCデラックス)
有永 イネ 小川 洋子
講談社 2012-02-13

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15:05 小川 洋子 | コメント(2) | トラックバック(0)

貴婦人Aの蘇生 / 小川 洋子

2012/07/30
4022577002貴婦人Aの蘇生
小川 洋子
朝日新聞社 2002-01

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北極グマの剥製に顔をつっこんで絶命した伯父。

法律書の生き埋めになって冷たくなっていた父。

そして、死んだ動物たちに夜ごと刺繍をほどこす伯母。

この謎の貴婦人は、はたしてロマノフ王朝の最後の生き残りなのか?

『博士の愛した数式』で第1回本屋大賞を受賞し、多くの新たな読者を獲得した芥川賞作家が、

失われたものの世界を硬質な文体で描いた、とびきりクールな傑作長編小説。



小川洋子の良さが存分に出ている作品。

散りばめられたパーツは美しく、死と蘇生を語る目線はどこまでも優しい。

描写が美しく、少しユーモラスで、深く染み入る。

この本好きだなぁ。


剥製収集家であった夫の残した剥製に、夜ごとイニシャル‘A’を刺繍する伯母。

伯母の面倒をみることと引き換えに、学費を出してもらう語り手の私。

強迫性障害を持つ心優しい私の彼、ニコ。

剥製愛好家向け雑誌のライター、オハラ。


たった4人の登場人物。

それぞれの持つ個性が存分に生かされ、4本の軸が真っ直ぐに立っている。

痴ほうを疑われそうな伯母が一番掴みどころがなく、ニコやオハラがすっと浮き上がり見事


古びた館からほとんど出ない生活。

家の中は剥製で散らかり放題だし、掃除もろくに出来ていない。

生活臭も、獣臭もしている。

なのになぜか。

アナスタシア皇女かも知れない伯母からは、侵しがたい気品が消えることはない。


設定が日本だと確かに理解していたのに、海の向こうの世界の気持ちで読んでいた。

終盤で「日本」と言葉を見て、あ、そうだったと思ったぐらいに。


村上春樹の作品は、海外作品のように読んでしまう。

その時に感じる印象と少し似ているか。

小川洋子の世界も、俗世間の排除が徹底されていて、清潔な仕切りの向こう側に存在するかのよう。


強迫性障害のニコが、ひたすらに儀式を繰り返し、自分の試練と戦う姿は胸が痛い。

そんなニコに対し、儀式の大切さを誰よりも理解し、全身で優しく包み込む伯母。

命は蘇生され、繋がっていた。



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15:05 小川 洋子 | コメント(4) | トラックバック(0)

完璧な病室 / 小川 洋子

2011/06/13
412204443X完璧な病室 (中公文庫)
小川 洋子
中央公論新社 2004-11

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弟はいつでも、この完璧な土曜日の記憶の中にいる―

病に冒された弟と姉との時間を描く表題作。

海燕新人文学賞受賞作「揚羽蝶が壊れる時」に、第二作品集「冷めない紅茶」を加えた四短篇。

透きとおるほどに繊細な最初期の秀作。 内容(「BOOK」データベースより)



おおおー。

小川洋子ですよ。

素敵、すてき。


「猫を抱いて象と泳ぐ」が好きな方は、きっと嬉しくなる一冊。

白、ブドウ、筋肉、ダストボックス…

音のない世界で、私までも無菌の世界に包まれるかのよう。


中短編なので読みやすく、ほんの数時間、ぐ、ぐ、ぐっと入り込める不思議な世界。

私が書評や感想を書ける本ではないですが、文学の世界に浸ることの出来る稀有な作家さんです。

たまにはこんな作品いかがでしょうか?



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18:23 小川 洋子 | コメント(2) | トラックバック(0)

妊娠カレンダー / 小川 洋子

2011/02/03
4167557010妊娠カレンダー (文春文庫)
小川 洋子
文藝春秋 1994-02

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出産を控えた姉に、毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。

妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。

謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ドミトリイ」。

小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。

透きとおった悪夢のようにあざやかな三篇の小説。

第104回芥川賞受賞  内容(「BOOK」データベースより)




やっぱり小川洋子。

目を逸らすことができない、深層部分にのみ触れるような作品です。


妊娠中の姉のお腹に、赤ん坊ではなく、染色体を想像してしまう妹。

そのお腹をぼんやり眺めながら、心に小さく芽生えた悪意

汚染されたジャムを作り続ける妹。

ひたすらに食べ続ける姉。

この恐ろしさを、美しい言葉で、ぽたりぽたりと綴る不思議さ。

妹に付きまとう、ぼんやりとした印象が、不気味さを際立たせます。


この異世界に戸惑いつつも、姉の不機嫌な言葉は、どこか共感できてしまう。

「ここで一人勝手にどんどん膨らんでいる生物が、自分の赤ん坊だってことが、どうしてもうまく理解できないの。

抽象的で漠然としてて、だけど絶対的で逃げられない。

ああ、わたしは赤ん坊に出合うことを恐れているんだわって、自分で分かるの。」


お腹が大きくなるスピードは、自分に母性が備わるよりも速く、心と身体のバランスが取れなくなる。

不謹慎さを感じ、口には出さないけれど、幸せと不安は常に共存していた。

私もこんな風に見えない命を恐れ、お腹を直視できないときがあったな。



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17:00 小川 洋子 | コメント(4) | トラックバック(0)

猫を抱いて象と泳ぐ / 小川 洋子

2010/09/29
4163277501猫を抱いて象と泳ぐ
小川 洋子
文藝春秋 2009-01-09

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伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。

触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…

大切な人にそっと囁きかけたくなる物語です。内容(「BOOK」データベースより)



唇が閉じたままで生まれ、手術後も寡黙な少年に育った主人公。

そんな主人公と祖母との前半の会話から少し抜粋します。

「神様はどうして僕を、おっぱいも飲めないような人間に作ったの?」
  
「神様は普通の人にはない特別な仕掛けを施して下さって、唇を切り離すのが間に合わなかったんじゃないだろうか。」

「でも僕のどこにも仕掛けなんかないよ。」
 
「それを見つけて生かすのは神様じゃない、お前だよ。神様が慌てるくらいだから、きっと素晴らしい仕掛けに違いない。」


その仕掛けはきっと、美しい棋譜を残すチェスの腕前。

こんな主人公の心を包みこむような優しさが、随所にさりげなく挿入されています。

チェスの対戦の美しさはもちろんですが、こんなシーンに出会うと、主人公と一緒になって居場所を見つけた気持ちになります。

この作品はゆっくり静かな所で読むのが似合いそう。

日頃多くを語りすぎる自分を恥ずかしく思いながら、とても贅沢な時間を過ごした気持ちです。


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17:21 小川 洋子 | コメント(6) | トラックバック(1)
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