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本を読む女 / 林 真理子

2015/02/25
本を読む女 (新潮文庫)本を読む女 (新潮文庫)
(1993/03/02)
林 真理子

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万亀は本を読むのが好きなだけの平凡な女の子。

しかし突然の父の死と戦争の始まりによって、彼女の人生は否応なく時代の流れに巻き込まれてしまう。

進学、就職、結婚という人生の岐路において、常に夢や希望を現実に押しつぶされつつも、読書を心の支えに懸命に自分の人生を生き抜いた万亀。

著者自身の母親をモデルに、一人の文学少女の半生と昭和という時代を描いた力作長編小説。 内容(「BOOK」データベースより)



ストレートなタイトルに目が行き、軽い気持ちで借りてきたのですが、期待以上の奥深い作品でした。

大正時代から始まる物語で、山梨の田舎の少女が主人公。

デビュー作「葡萄が目にしみる」の、山梨から都会に出ようとしていた林真理子さんを思い起こしながら読んでいました。


大正時代。

次第に戦争へと日本が向かい、女性は就職、結婚、家族のため、自分の意思をまげて暮らしていかなければならない。

自分の思うように生きることができたのなら。

主人公はいつも願っているのだが、その度家族に引き戻され、何度も道を諦め唇を噛んでいる。

もどかしさを抱えながらも、夢を一つ一つ諦め、それでも逞しく生きていく姿がありました。


各章のタイトルのつけ方が素敵で印象に残ります。

「赤い鳥」、「放浪記」、「万葉集」、「斜陽」…

小説のタイトルが使われているのですが、内容と見事にリンクして美しい。

格好いいなぁと思っていました。


読み終わってようやく、主人公の万亀は林真理子さんのお母さんだと知りました。

そういうことだったのか…

都会に対する強い憧れ、文章能力が秀でた頭の回転の良さ、内に秘めた意志の強さ。

雰囲気が似ていると思いつつ読んでいたのですが、お母様だったのですね。

母があの時やり残したことを、林真理子さんがタスキを受け取り、期待以上に夢を叶えているかのよう。



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21:37 林 真理子 | コメント(4) | トラックバック(0)

葡萄が目にしみる / 林 真理子

2013/09/13
葡萄が目にしみる (角川文庫)葡萄が目にしみる (角川文庫)
(1986/03)
林 真理子

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葡萄づくりの町。

地方の進学高校。

自転車の車輪を軋ませて、乃里子は青春の門をくぐる。

生徒会の役員保坂に寄せる淡い想い。

ラグビー部の超スター岩永との葛藤。

そして、笑いさざめき、かすかに憎しみ合う級友たち―。

目にしみる四季の移ろいを背景に、素朴で多感な少女の軌跡を鮮やかに描き上げた感動の長編小説。

直木賞候補となったこの作品は、青春小説の枠を超え、鮮烈な印象を与えて、選考委員たちの絶讃をあびた会心の代表作である。



林真理子の作品を全巻制覇しようとは思わない。

面白いし刺激を受けるのは確かだが、たいていは一冊でお腹がいっぱいになってしまう。

自意識過剰と自己顕示欲と、その他どろどろとしたものが強すぎて、特に彼女のエッセイは苦手です。

どの作品を読んでいても、始終彼女のふてぶてしい顔がちらつく。

作品より先に、作家の存在が前に立つ人は、少ないのではないでしょうか。


嫌だ嫌だと一定の距離を取りつつも、定期的に読んでしまうのは、20年以上前の作品「葡萄が目にしみる」が好きだから。

この作品は、若さゆえの残酷さや妬みが、田舎の素朴な清潔感と、素晴らしくバランスが取れている。

いつも女の臭気みたいなものがきつ過ぎる印象を受けるので、このぐらいが私には丁度良いです。



容姿にコンプレックスを抱く主人公は、林真理子そのものに映る。

美しい友人に嫉妬し、読んでいて恥ずかしくなるほど自意識過剰な妄想を抱く。

青春小説は「瑞々しい」と表現されることが多いですが、瑞々しさの中に強靭な「ふてぶてしさ」が漂う。


主人公の妬み、嫉みにうんざりしつつも、私にも当然思い当たる節があって。

読み手の胸をざわつかせ、切ないなどという綺麗事に納めきらないのが良い。

自分が笑われるであろうことは十分承知なのだろう。

嘲笑されても、いつか嘲笑しかえしてやるという、執念みたいなものを感じます。

妬み、嫉みは、さすが一級品。

切り口は綺麗でありながら、吹っ切った作品だと思います。



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13:06 林 真理子 | コメント(2) | トラックバック(0)

白蓮れんれん / 林 真理子

2013/08/07
白蓮れんれん (中公文庫)白蓮れんれん (中公文庫)
(1998/10)
林 真理子

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命を賭けた恋…

大正時代、筑紫の炭坑王の妻で美貌の歌人・柳原白蓮は7歳下のジャーナリスト宮崎龍介と恋に落ちた。

名高い恋の逃避行「白蓮事件」を、門外不出の資料を元に描ききる渾身作。

未発表の恋文七百余通をもとに描く、新しい柳原白蓮像。

第8回柴田錬三郎賞受賞作。



もともと「白連事件」を知らないのですが、何も知らなくてもとても面白い。

林真理子が書いたと知れば、普段手に取らないであろう題材も身近に感じます。

「白蓮事件」
大正天皇の従妹である歌人:柳原白蓮は、大正10年、朝日新聞に夫宛ての絶縁状を掲載し、7歳年下の男の元へと逃げた。この事件は世間から大変な注目を浴び、後に「白蓮事件」よばれるようになる。


結婚したはいいが、夫には手を付けた女が多数いるらしい。

自分の居場所のない結婚生活に愕然とし悩む白蓮だったが、歌の世界に居場所を見つけ夫の存在が重く感じ始める。

最初は不愉快に感じていた妾の存在さえも、いなくなってしまうと困ることに気が付いた白蓮。

何故なら、妾がいなくなると、夫の目が自分に向いてしまうから。

夜、夫に呼ばれることが苦痛で、妾と一緒に新しい妾を探す華族出の妻。

赤い着物を着せ、妾をいたわる白蓮の怖さったらない。


どちらも不貞に変わりはないが、妻の不貞だけは姦通罪として処罰される時代。

天皇の従妹であり、大正三大美人と言われ有名な白蓮が若い男と逃げたのだから、世間の注目を浴びないはずがない。

当時の週刊誌の見出しも引用されているが、今よりももっと激しく攻撃的。

血の気の多い家の者達は、「あの淫売女をたたき切る!」と息巻いている様子からも、命がけで逃げた様子がよく分かります。


この物語では、二人の間に交わされた700通もの手紙が軸となっている。

いつの時代も、恋は落ちるものらしい。

最初は自分の身分も考え、相手の気持ちを探るように書かれていたのが、次第に深みにはまっていく様子は痛々しくもある。

7歳の年の差、既婚、許されない恋でありながら、誰かに話したくて仕方がない胸の内。

女が「自分の中の女」を抑えきれなくなった時、独特な光を放つ。

そんなぬめる様な光らせ方をさせるのは、林真理子らしくて上手いなと思います。


いつも思うのですが、昔の人の方がずっとすごい。

恋愛に関して、結婚に関して、現代の方がずっとこじんまりとしている。

どろどろとした内容のはずなのに、どこまでも品があり美しかった。

逃げた二人が幸せであって欲しいと、つい思ってしまう。



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19:00 林 真理子 | コメント(2) | トラックバック(0)

下流の宴 / 林 真理子

2011/01/25
4620107530下流の宴
林 真理子
毎日新聞社 2010-03-25

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それなりの教育を受け、平穏な家庭を営む主婦由美子の悩みは、20歳になる息子が中卒で定職をもたないこと。

普通に暮らし、普通に生きてきたつもりだったのに。

自分は下に落ちていた?

家族。

生き方。

変わるもの、変わらないもの。

身近に起きる格差社会の現実を真正面から描いた、大反響の新聞連載小説。内容(「BOOK」データベースより)




自分の家柄を「そこそこよ。」と言う人は、内心、自分を中の上だと思っている。

そんなちょっと面倒くさい日本らしさを、上手く表した面白い作品です。


自分はここまで酷くないわと、読者に思わせつつ引き込む手腕。

登場人物の浅はかさを痛烈に笑っている自分も、どこか似たり寄ったりのはず。


読者層は、「そこそこの家」の人達。

林真理子はそれを分かっていて書いていて、読者もそれを分っていて読む楽しさ。

「林真理子って、がつがつしてるよなぁ…」と思いながら。


分かり易いほどの現在の社会問題を、いい感じで登場人物がシェアしている。

息子の中卒の肩書きを受け入れられない母。

フリーターで一生暮らしていけると言い切る息子。

大切なのは就職より結婚だと婚活に励む娘。


人の価値、ランクとは?

気楽に読めて、なかなか皮肉な面白さです。


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07:00 林 真理子 | コメント(6) | トラックバック(0)
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