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木瓜の花 / 有吉 佐和子

2013/01/10
410113216X木瓜の花 (新潮文庫 あ 5-16)
有吉 佐和子
新潮社 1971-05

by G-Tools

花柳界から足を洗い、老いを意識しながらも壮年の学者に少女のような憧れを抱く正子。

豪華なバーや料亭を一人できりもりし、男なしではいられないという蔦代。

幾度か衝突し、行き来のとだえていた二人。

しかし、恍惚の人と化した蔦代の母が正子の許に飛び込んできたことから、再び愛憎の葛藤が始まる。

――戦後を生きる『芝桜』の主人公たちの対照的な老境を木瓜の花の色どりの中に描く。



「芝桜」ってなんだ?

またやってしまったようで、「木瓜の花」は「芝桜」の続編なのだそう。

順番に読むに越したことはないですが、読んでいなくても問題なく十分楽しめます。

有吉佐和子が木瓜と書くと、呆けをかけているのかと想像してしまうが、全く違う花柳界の話。

ちなみに木瓜の花は梅のようなかわいらしい花です。

ha01090317s01boke006003_convert_20120918115544.jpg 実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」が由来だとか


芸者を潔く辞め、清く正しく美しく生きる正子。

時代に合わせ、芸者からバーの経営まで手広く扱う、何事にも貪欲な蔦代。

花柳界を引退後対照的な生き方をする二人は、幾度も衝突しながら、なぜか縁を切ることが出来ない。

強引で人の気持ちに寄り添うこともしない蔦代を憎み切れないのは、手を尽くす盆栽に哀しさを感じるから。

蔦代が心を入れた木瓜の盆栽が、物語の中で外すことが出来ない鍵となってくる。


盆栽を年寄りの道楽と思うには、華やか過ぎる美しさ。

華やかで美しい贅を極めた盆栽も、突き詰めると窮屈さを感じさせる不思議。

盆栽に限らずどんな花でも同じ。

手をかければ、こんもりと多くの花を付けさせることが出来る。


新芽が勢い良く伸びてきたら、すぐに芽を摘み脇芽を出させる。

咲いた花が枯れ始めたら、すぐに花がらはむしり取る。

種を残せなかった花は、種を残そうとまた花を咲かせる。

沢山の花を咲かせ、長く楽しもうと人間がしていることは、出ては摘み、種を奪うの繰り返し。

花の身になって考えれば、ずいぶん残酷な話。


剪定と手入れを繰り返す蔦代が作り出す花は美しい。

人間を上手く扱えないからこそ、思い通りになる盆栽を愛してしまうのか。

そして唯一、盆栽のように芽を摘み取られた男の置き所が上手い。

盆栽はしませんが、私も花には延々手をかけてしまう。

子どもは花のように思い通りに伸びてくれないのよね…と思ってしまう私は、この皮肉に耳が痛い。


芝桜〈上〉 (新潮文庫)  芝桜 (下) (新潮文庫)

津川家の正子と嶌代は将来の看板芸者と目されていた。しかし、二人の性格は全く対照的だった。実直で健気、芸者の通信簿でも総牡丹(全甲)をもらうほど頭のいい正子。美しく信心深いところがありながら、水揚げ前に不見転で客をとり、嘘を本当と言いくるめて次々に男をかえていく嶌代。―二人の芸者の織りなす人生模様、女同士の哀歓を絢爛たる花柳界を舞台に描く。 内容(「BOOK」データベースより)


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13:58 有吉 佐和子 | コメント(0) | トラックバック(0)

華岡青洲の妻 / 有吉 佐和子

2011/07/10
4101132062華岡青洲の妻 (新潮文庫)
有吉 佐和子
新潮社 1970-01

by G-Tools


江戸後期、世界で初めて全身麻酔による手術に挑んだ紀州の名医青洲。

一人の天才外科医を巡る嫁姑の凄まじい愛の争奪。

世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。

その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――

美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。




ここ最近の受賞本、本屋大賞や、何とか人気NO、1とか…

色々読んではみますが、これといって感動する作家さんに出会えません。

今はこういう本が大人気なのか…

内容の薄さにがっかりしてしまうことも。

自分とのタイミングが合わないようです。


こんな時には少し時代を遡ってみようかな。

まだ読んでいなかった名作をと、最近は有吉さんを読んでいます。


うわぁ、この人好きですねー。

実話に装飾しているわけですが、嫁、姑の女の確執だけに焦点を絞っていて、読んでいて気持ちがいい。

嫁姑といっても、安っぽいドロドロさなんてない。

きりりとした美しさの陰に隠された、女としてのプライドの描写が見事。


青洲本人や小姑の心をほとんど描かず、さりげなく、わずかにだけ見せる。

そこがたまらなく好きです。

ラストなぜ小走りになってしまったのか、ちょっと分からなかったのですが、久々に良い本に出会えました。

そうそう、私が好きな山崎豊子さんの「暖簾」「花のれん」を思い出します。

こちらも素敵でお勧めです。


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11:26 有吉 佐和子 | コメント(2) | トラックバック(0)

複合汚染 / 有吉 佐和子

2011/06/06
4101132127複合汚染 (新潮文庫)
有吉 佐和子
新潮社 1979-05

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有吉佐和子が目撃した30年前の「不都合な真実」毒性物質がもたらす、環境汚染の実態。

工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。

毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。

おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか?

小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!(本の紹介より)




有吉佐和子さんの「恍惚の人」が良かったので読んでみたら…

時期的にちょっと辛い本でありました。


母親ですから、農薬、添加物など、自分なりに気にしていたつもりでしたが、私全然甘かった。

なぜ農家の人が農薬を使うようになってしまったのか。

そこに触れていることが、この本の価値だと思う。

農薬反対なんて、口で言っていても仕方がない。


国の農業政策は、自給自足から大量生産へとシフトしていった。

国の政策の元、農協から次々を売り渡される農薬。

何も知らされていない農家の人がそれを使い、次々と身体を壊していく。

ホリドールが使われていたとき、最初に農家の人の神経系統に影響が現れ、情緒不安定、不眠症、そして自殺へと。

農薬は神経を、心を壊してしまう。

そして、現在もこの大量生産推奨は変わってはいない。


美しい野菜しか知らない私たち世代は、腐らない卵に疑問を抱かない。

この世代が主婦となった今、本当に取り返しがつかないことになっている。

腐って当たり前、虫くって当たり前、そんな野菜や果物を、私たちが求めるようにならなければ。


田畑に散布された農薬は、雨が降ると土にしみこみ、地下水を汚染し、やがて河川を流れて海に注ぎこむ。

それをまずプランクトンが食べる。

プランクトンを小魚が食べる。

小魚を中ぐらいの魚が食べる。

それをさらに大きな魚が食べる。

こういうことを「食物連鎖」という。

食物連鎖の一つ一つの鎖ごとに「生体濃縮」が行われる。

鶏がそうだ。

牛もそうだ。

豚もそうだ。

そしてすべての食物連鎖のターミナル(終着駅)は人間の口なのである。




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18:38 有吉 佐和子 | コメント(0) | トラックバック(0)

恍惚の人 / 有吉 佐和子

2011/05/18
4101132186恍惚の人 (新潮文庫)
有吉 佐和子
新潮社 1972-05

by G-Tools


文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。

老いて永生きすることは果して幸福か?

日本の老人福祉政策はこれでよいのか?

老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない“老い”の問題に光を投げかける。

空前の大ベストセラーとなった書下ろし長編。内容(「BOOK」データベースより)



1972年発行の超有名な「恍惚の人」、ただ今登場です。

遅っ!

なぜか読みそびれていましたが、読んでよかった。

人生間に合わないことはないのだ。


この時代、痴呆という言葉が、まだ世間で認知されていなかった。

訪問ヘルパーもデイサービスもない。

敬老会館も老人ホームも、心身健全な者でなければ受け入れられない。

紙おむつはとても高価で簡単には使えない。

その上、夫は無理解ときている。

この時代の介護は、今よりもっと孤独で、逃げ場のない厳しさです。


全く未経験の痴呆介護を、嫁が一人ですべてを背負う。

それでも、近所や周りにどこかに笑える部分があり、闇の中に救いがあります。

離れに住む若夫婦との対比も面白い。


読後誰もが、二つのことを考えるのではないでしょうか。

一つは、自分はこんな風に介護ができるのかという不安。

もう一つは、自分が痴呆になってしまうことへの恐怖。

私はどちらかと言えば、前者が強いです。


義父は痴呆だったのですが、大阪に住んでいた私は、何の役にも立てませんでした。

本当に何にも。

今になっても、あの時もし同居していたら、自分に出来たかと考えます。

頑固一徹の義父は、痴呆になっても気難しい人でした。

この本ほど大変ではない部分もあるし、この本以上の大変さもありました。

こういう形では上手くは書けませんが、人格を失った姿を直視することは辛いものです。


介護している方は背水の陣で戦い、何度も乗り越えられたんでしょうね。

本当に介護の世界はすごいのです。


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12:00 有吉 佐和子 | コメント(2) | トラックバック(0)
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