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台所のおと / 幸田 文

2010/11/30
4062059541台所のおと
幸田 文
講談社 1992-09

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女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角だつな。

さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。

料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変ったことに気付く…

音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。

他「雪もち」「食欲」「祝辞」など十編。

五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す幸田文の世界。内容(「BOOK」データベースより)




作家の幸田露伴の次女である幸田文の短編集です。

超の付く読書家の母が「これだけは読んでおきなさい。」と渡してくれた本でもあります。

言葉が綺麗だとか、胸にしみるとかも、もちろんそれもありますが、この本は生き方のお手本帳

登場人物の凛とした美しさ、心の持ちようは、理屈なしで心に響きます。


腰を据えて丁寧に生きるということ。

人を思いやるときは、控えめかつ何も惜しまない潔さ。

この本を読むと、自分はなんと乱雑に生きているのか、と恥ずかしく思います。

聞きながら見て、見ながら歩き、歩きながら話し、話しながら食べ、を繰り返し、

そんな雑然とした日常で、自分は何に向き合っているのでしょうか…


また物に対する思いも秀逸です。

下駄にまつわる話「濃紺」が、この中で特に好きな話。

職人の控えめで芯のある思い。下駄に込められた思いが、長い年月職人の手によって繋がれていく。

これだけ大切にされ、命を宿した物は、現代の家庭にあるのだろうかと思うのです。


図書館で借りるより、手元に置いた方が価値のある本です。

時間の余るときに何の気なしに読んで、立ち位置を修正してもらう感じでしょうか。

説教臭さは少しもなく、登場人物の心の持ちように背筋がシャンと伸び、清潔で心地よい余韻が残ります。

少し形に残る本を読みたい方にはぜひお勧めします。


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17:00 幸田 文 | コメント(11) | トラックバック(0)

勝手にふるえてろ / 綿矢 りさ

2010/11/29
4163296409勝手にふるえてろ
綿矢 りさ
文藝春秋 2010-08-27

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内容賞味期限切れの片思いと、好きでもない現実の彼氏。

どっちも欲しい、どっちも欲しくない。

恋愛、しないとだめですか。

片思い以外経験ナシの26歳女子が、時に悩み時に暴走しつつ、現実の扉を開けてゆく。

キュートで奇妙な恋愛小説。 (「BOOK」データベースより)




初の綿矢作品です。

男性が読んでは引いてしまうような女子の内面。

表面上はいたって普通のOL。

しかし、胸の内はとても捻くれていて、可愛げがない。

個人的には、社会で上手く立ち回れていない、こういう偏屈人間は好きです。

心の中でぶつぶつ言っていることは、かなりシュールでいちいち可笑しい。

私の視界は正直だ。

彼の顔が三割増し粗く見える。

彼のよく動く口が伸び縮みする輪ゴム程度にしか見えない。


全体的にこんな毒を、胸のうちで吐き続けている26歳の処女。

その万人受けしないキャラを、読んでいる人がバカバカしくも可笑しく感じれば成功だと思う。

ダメな人もいると思いますが。


この口の悪さも美しい綿矢りさが書くから、からり、さらりと笑えるのかも。

林真理子が書くのと少し似ていて、湿度の高さに違いを感じます。

いかん、これは失礼。


こんな頭でっかち未経験女子が、さてこのままで幸せになれるのか?

オチを期待するというよりか、地に足が着いていないまんまでゆるりと最後まで。


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15:00 綿矢 りさ | コメント(4) | トラックバック(1)

お医者様のリップサービス 美味しいバリウム

2010/11/27
私の内科の先生はとてもサービス精神旺盛。

いつもご機嫌でお愛想も満点。

ちなみに見た目は50歳ぐらいのおじさま。

残念ながら、かっこ良いわけではない。

でも、善人のかたまりなのです。


先日胃の調子が悪くて通院。

胃の検査の為バリウムを飲むことに。

個人病院の為、朝8時半の開院前の検査室へ行きました。



「ごろちゃんさん、お早うございます。暖房で暖めておいたんですが…寒くはないですか?」

検査室に急速暖房の音がごうごうと響いている。 優しいのね。

「では、これがバリウムです。ええ、ごろちゃんさんも飲んだことはおありでしょう?」

秘蔵っ子を出すような、にんまり度。

「まずいまずいと言われますが、うちのはとても美味しいんですよ。ええ、ええ。みなさんこれは美味しいと仰るんですよ。」

確かにとても美味しい。

「ああ~上手に飲んでくださいました。ええ?やっぱり美味しかったですか?そうでしょう、そうでしょう。」

なぜこんなに嬉しそうなのだろうか?

まさか先生のお手製でもあるまいし。


早速撮影が始まった。

「では横になってください。ああ、上手ですね。はい反対。ばっちりですね~いいですね、いいですね。」

篠山紀信?

そもそも、篠山紀信が褒め上手かどうかは知らないが。


「もう一度、残りのバリウムを飲んでください。ああ上手ですね~上手く撮れましたよ。」

こんなに褒めてくれるなら、裾を少し上げてみようかとさえ思ってしまう。


終了後、鏡の前で口をゆすがせてくれて、気持ち悪いでしょうからと、ペットボトル飲料のサービスまで。

何て行き届いた気遣いでしょう。


さて、1時間後診察室へ結果を聞きに入る。


「お待たせしました。ごろちゃんさんが上手に飲んでくださったお陰で、良い写真が撮れましたよ。」

はたしてそうなのか。

そしてドラマのようにレントゲン写真を貼り始める。


「結論から申しますと、お顔と同じで胃も綺麗!

は?

「食べれないと仰っていたので、私としても何か病気があったらと心配したんですが、お顔のように胃もお綺麗で、ええ、ええ、私も安心しましたよ。」

先生は心から嬉しそうである。


お世辞でも何でもいいんだけど、何だか膝がかくんってなるね。

大体がとこ、いつもこんな感じです。


子どもの注射には、チョコレートに、可愛い消しゴムにと、大サービスだし。

こうやって少しでも検査が楽になるようにと、心砕いている先生って貴重だし素晴らしい。

残念ながら、お医者様オーラだけが足りない。



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17:00 気になる人 | コメント(15) | トラックバック(0)

新参者 / 東野 圭吾

2010/11/26
4062157713新参者
東野 圭吾
講談社 2009-09-18

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日本橋。

江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。

「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。

着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。

内容(「BOOK」データベースより)




「加賀恭一郎シリーズ」最新作で、気軽に読める連結短編になっています。

ミステリーというより、ハートウォーミングなお話。


スピードが全体的に一定で、展開も読みやすい。

犯人は当分出てこないな…という安心感すら感じてしまう(笑)

そんなバカな…

そもそも加賀恭一郎ってこんなに柔らかかったかな?


「さあ、ミステリーを!」と思うには少々肩透かしですが、小説としてはなかなか面白い。

年老いた母と息子、犬猿の嫁と姑、様々な人間模様に、下町の情景の良さも加わり、心地よい癒し系。

ストレスなく楽しめ、一話完結。

面白さは散りばめられているので、通勤電車で読むのにもお勧めです。


ちなみに、加賀恭一郎とは最初探偵役だったのが、途中から警視庁捜査一課の刑事となり、現在左遷中。

『卒業』『眠りの森』『悪意』『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』『嘘をもうひとつだけ』『赤い指』に登場しています。


『このミステリーがすごい!2010』1位
『週刊文春ミステリーベスト10』1位

でもでも ミステリーって感じじゃあないんだよぉぉぉ…


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17:00 東野 圭吾 | コメント(2) | トラックバック(0)

ヘヴン / 川上 未映子

2010/11/24
4062157721ヘヴン
川上 未映子
講談社 2009-09-02

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「苛められ暴力を受け、なぜ僕はそれに従うことしかできないのか」

頬を濡らすあてのない涙。

14歳の苛めを正面から描き、生の意味を問う、哀しくも美しい物語。(内容紹介)




日頃から図書館にたくさんの本を予約し、届いた順に読んでいるのですが、たまたま、いじめをテーマにした本が続いてしまいました。

カラフル < 十字架 < ヘヴン

この順序は内容の濃さ、筆の力、残酷さ、リアルさ。

すべてにおいて「ヘヴン」が一枚上だと思いました。


きつかった

残酷さにおいての表現は作者の意図するところで、だからと言って、さらりと読める内容ではない。

涙と感動という本の宣伝文句には共感を得ませんが、心を荒くえぐられる本です。


いじめを受け続ける「僕」

いじめを受けつつも、信じるものを貫き通す強靭さも持つ「コジマ」

加害者で、いじめに善、悪の価値なんてない、これもすべて自由なんだと言い切る「百瀬」

三人の心の描写、書き分けが素晴らしい。

互いの心が交差し、影響を与えながらも、永遠に交わることのない距離。


百瀬の自分勝手な言い分に辟易しながらも、あながち間違っていない部分もあり、苛められている僕でさえ、百瀬が正しいのではないかと悩んでしまう。

そして汚い臭いと罵られるコジマの、人としての気位の高さが美しく、そのコントラストが見事です。


あいまいな感動物語より、よっぽど強烈で胸に響くラスト。

自分の尊厳を踏みにじられる恐ろしさは、人格をも損失させてしまう。

理屈ではなく、人の尊厳を踏みにじっちゃあいかんのよ

絶対に。


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17:00 川上 未映子 | コメント(4) | トラックバック(1)
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