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ソロモンの偽証 第Ⅱ、Ⅲ部 / 宮部 みゆき

2015/03/30
ソロモンの偽証 第II部 決意ソロモンの偽証 第II部 決意
(2012/09/20)
宮部 みゆき

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ソロモンの偽証 第III部 法廷ソロモンの偽証 第III部 法廷
(2012/10/11)
宮部 みゆき

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騒動の渦中にいるくせに僕たちは何も知ろうといなかった。

けど、彼女は起ちあがった。

校舎を覆う悪意を拭い去ろう。

裁判でしか真実は見えてこない!彼女の覚悟は僕たちを揺さぶり、学校側の壁が崩れ始めた…

気がつけば、走り出していた。

不安と圧力の中、教師を敵に回して―

他校から名乗りを上げた弁護人。

その手捌きに僕たちは戦慄した。

彼は史上最強の中学生か、それともダビデの使徒か―。

開廷の迫る中で浮上した第三の影、そしてまたしても犠牲者が…

僕たちはこの裁判を守れるのか!? 内容(「BOOK」データベースより)



幸い、記憶のある内に届いてくれた第Ⅱ、Ⅲ部。

久々に骨のある楽しい作品に、一気に読み進めてしまいました。


実際問題、中学生にしては皆賢すぎる。

仕事のあるはずの多忙な親たちが、いいタイミングで常に家に居る。

警察が驚くほど協力的で、大人たちの理解もいい。

その辺り違和感もありますが、設定が今より20年前なので、比較的自由な世の中だったのかなという強引な理由で納得^^


ある程度の流れが読めるものの、最後はどう落とすのか。

先を想像する楽しさがありました。

登場人物が賢過ぎると書きましたが、それでもこの主人公は中学生でなければならなかったと思う。

死に興味があり、殺したくて、死にたくて、誰かに死んでほしくて、それが自分自身なのかもしれなくて…

自分という存在に興味と恐怖がないまぜになったような、周りと距離感がつかめない孤独。

自ら追い込んでしまう小さな存在に、これは中学生でなければ表現しきれないものを感じました。


いじめがあっていいはずはなく、自殺が救いになってもいけないのだけれど、それでも折り合いをつけようとした彼らはすごかった。

単純に良くやったねと、母目線で感動してしまいました。


一つ一つ本当に細かく掘り下げられるので、驚くほど長くなってしまっていますが、それも良かったなと。

いろんな情報の中に、作品を伸ばすために組み込まれた情報は全くないように思う。

登場人物それぞれの家庭環境。

大人同士の軋轢。

細部まで見通せて、かなり消耗しはしましたが、とても読み応えのある作品でした。



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23:47 宮部 みゆき | コメント(2) | トラックバック(0)

ソロモンの偽証 / 宮部 みゆき

2015/03/24
ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件
(2012/08/23)
宮部 みゆき

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クリスマスの朝、雪の校庭に急降下した14歳。

彼の死を悼む声は小さかった。

けど、噂は強力で、気がつけばあたしたちみんな、それに加担していた。

そして、その悪意ある風評は、目撃者を名乗る、匿名の告発状を産み落とした―。

新たな殺人計画。

マスコミの過剰な報道。

狂おしい嫉妬による異常行動。

そして犠牲者が一人、また一人。

学校は汚された。

ことごとく無力な大人たちにはもう、任せておけない。

学校に仕掛けられた史上最強のミステリー。 内容(「BOOK」データベースより)



いつもなら全巻読み終わってから感想をまとめて書くのですが、現在第二部は図書館の予約順番待ち。

既に文庫も出ているのに、図書館ではまだまだ人気のようです。

第二部が届くまで感想を覚えている自信がないので、一部だけ先に感想を残しておきます。


この本を発売当初に予約しなかったのは、あらすじが怖かったから。

学校で次々起こる連続殺人。

もしかして…貴志祐介の「悪の教典」、あのハスミンみたいなのが登場するのだろうか (゚ロ゚屮)屮

と、思って躊躇していたのです。


実際読んでみると、今のところハスミンは出てこないがとても面白い。

ずしっと重みがあって、細部まで細やかに掘り込んであるさすがの作品。

中二の微妙なお年頃と、義務教育ならではの教師のジレンマ、格差…

保護者に警察官がいたこともあり、子どもと大人の会話が上手く整理されています。


宮部みゆきさんの作品は、主軸の登場人物だけでなく、サブも細かく人物設定がされていて、奥行きがある。

その分読むのにパワーがいります。

生徒たちの家族構成や、コンプレックスや、家庭環境の問題。

今はきちんと覚えているけれど、二部が届くまで覚えていられるかしら…

当面の心配は、そこ。



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15:57 宮部 みゆき | コメント(2) | トラックバック(0)

スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八転び篇 / 西原 理恵子

2015/03/20
スナックさいばら おんなのけものみち    七転び八転び篇スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八転び篇
(2013/01/29)
西原 理恵子

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世の中、正論だけじゃ立ち向かえないから―。

恋愛、結婚、出産、子育て。

キレイゴトでは済まされない問題に血の通った言葉を贈る、本音のガールズトーク。

女の“リアル”がここにある―。

『生きる悪知恵』からさらに一歩踏み込んだ、実践版人生指南書。 内容(「BOOK」データベースより)



今回の作品は結婚、子育てが主軸なので、夫に対する愚痴が多く出てきそう。

実際すごくハードなものもありますが、読み終わってみたら、意外とのろけが多かったような気が…

なんだかんだ言いながら、結局は夫が好きで、子どもが好きで、生きているのが楽しい。

そんな気持ちにさせてくれます。



中でも笑えてしまうのが、ピンチの時の旦那様の対応。

奥さんが熱で寝込んだときに、ある旦那が親切そうな顔をしていったそうな。


「俺はすませてきたから」


旦那さんは俺の分ご飯作らないでいいよと、思いやりのつもりで言っている。

そうじゃないだろう…

てゆうか、妻はどうしろというのだろう。

心から悪気なく、親切心で言ってしまう旦那様、結構多そう。



そしてもう一つ。

毎日叱られても聞いていないで、同じことを繰り返す兄を見て、賢い妹さんが言ったそうな。


「お兄ちゃんの右の耳と左の耳のあいだには、ちくわが入ってるのよ」


これは本当に名言だ。

息子を持っている人には絶対伝わると思う。


どうして奴らは話を聞いていないのだろうか…

同じことを何度言わせるのだろうか…

と、いつもいつも不思議に思っていたのだけれど。


そうか、ちくわが入っていたんだ


ようやく納得しました。


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17:07 西原 理恵子 | コメント(4) | トラックバック(0)

冬の運動会 / 向田 邦子

2015/03/18
冬の運動会 (文春文庫)冬の運動会 (文春文庫)
(1998/01/10)
向田 邦子

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高校時代の万引事件のためエリート家庭から落ちこぼれた菊男は、ガード下の靴修理店の老夫婦のもとに入りびたっていた。

そんなある日、ふとしたきっかけから、菊男は謹厳な祖父や、一流ビジネスマンの父のもうひとつの姿を知ってしまう。

人間の本質と家族のあり方を追求して話題を呼んだ名作ドラマの小説化。 内容(「BOOK」データベースより)



かつては軍人で連隊長だった厳格な祖父、エリートで体面を気にするお堅い父。

望まれるような息子でいることが出来ない主人公:菊男は、息が詰まる完璧な家から逃げ出すように、ガード下の靴屋に入り浸る。


子どものいない夫婦にとっては、可愛い可愛い仮の息子。

肩ひじの張らない懐かしい匂いがする靴屋は、居心地の良い仮の家族。

両者の関係はまるで愛人のようで、その存在の大切さに、互いに手を離せなくなってしまう。


ひょんなことから、厳格な祖父にも、父にも、仮の家があることを知ってしまう菊男。

祖父も父も、家では見せることがない別の顔を、自分と同じように持っているのだろうか。


誰もが皆、自分に出来てしまった「見た目の形」に息が詰まるときがあると思う。

自分で作り上げておきながら、少しづつ違和感を覚え、その場所から逃げ出したくなるように。

身勝手なことかもしれないけれど、また女にとってはたまらなく迷惑な男たちなのだけど、誰も憎めない。

それが向田さんの作品の不思議なところ。

ダメ人間がギュギュっと集まって、みんな不器用にガチャガチャ音を立ててぶつかりながらも、根底が温かい。

その温かさに胸がいっぱいになります。


最初っからずるく生きているわけではなくて、一生懸命生きてきた結果の嘘。

何かを守るために、引くに引けなくなったり。

欠けたものを埋めようとして、違うものをはめてしまうちぐはぐさ。

向田さんの作品はみんな素敵です。


あとがきに書かれている女優の藤田弓子さんの言葉がまた印象的でした。

 向田さんがもう書いて下さらないので、この国のドラマは、レベルが落ちて行く一方だ。薄っぺらな登場人物が、下品なせりふをただペラペラ喋るだけ。「だから何なの?」というドラマばっかりになってしまった。
 向田さんが書き続けて下さっていたなら、この国の人達は、もっと深く、ものを見たり考えたりすることが出来ていたんじゃないかと思ってしまう。もっと賢く、優しい人間になれたんじゃないかと思ってしまう。


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20:44 向田 邦子 | コメント(4) | トラックバック(0)

殺人出産 / 村田 沙耶香

2015/03/13
殺人出産殺人出産
(2014/07/16)
村田 沙耶香

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「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい―。

そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。

育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。

素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。

それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない…。

三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。

普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。 内容(「BOOK」データベースより)



読み終わって、とにかく気持ち悪さが残る。

あらすじにある「普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集」とあるのですが、素晴らしく上手い表現。

今の当り前を根本的にひっくり返して、見たことのない常識(読み手にとっては非常識)を強引に突きつけられる。


医療がどんどん発達して、男性にも人工子宮が装着でき、人工授精で男性も出産が可能となる。

男も女も関係なく、10人産めば、1人殺しても良いという法律。

殺したい人がいるなら、10人を人工授精で産んで、法で守られた中、相手を好きなように殺せばいい。

10 - 1 = 9

9人も増えるなら、1人ぐらい殺したっていいよね、ってことだ。

現在の少子化問題を解決しなければ、いずれこんな世の中になってしまうかもしれないと、問題定義しているのだろう。


人工授精の先に、人工子宮が可能となるのなら、性別すら関係なくなる…

そこまではイメージつして繋がるのだが、村田さんの作品には「人を育てる」という行為が存在しない。

最初から最後まで「産む」であり、命について書けば書くほど、重みを失い軽くなるよう。


生命に人の手をどこまで介入させるべきか。

倫理的な問題と、SF的な創作の部分が交わるには、自分の感情が入ってしまうので、難しいものがありました。


ちなみに、「殺人出産」の他にあと3篇収録されているのですが、それがまたしんどい。

今の常識を過去のものとして作り出された世界の常識を前面に押し出してくるのだが、そこにたどり着いたプロセスが見えない。

3人の恋愛が主流となる「トリプル」は特に強烈で、なかなか直視できない世界でした。


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13:47 ま行 その他の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)
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