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あ・うん / 向田 邦子

2012/05/15
4167277204あ・うん (文春文庫)
向田 邦子
文藝春秋 2003-08

by G-Tools


つましい月給暮らしの水田仙吉と軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長門倉修造。

二人の間の友情は、まるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。

太平洋戦争をひかえた世相を背景に、男の熱い友情と親友の妻への密かな思慕が織りなす、

市井の家族の情景を鮮やかに描いた著者唯一の長篇小説。 内容(「BOOK」データベースより)



私は脚本を読むのが好きではないので、向田邦子をつい読まないできていた。

なんてもったいないことを。

食わず嫌いはいけませんね。

文芸春秋から1981年に出版されている小説版は、とてもとても良かった。


何をやってもさまにならない月給暮らしの仙吉と、何をやっても絵になる社長の門倉。

共通点一つないように見えて、狛犬のように二人で一つの友情。


すべてを手にしている門倉が、ひそかに愛するのは仙吉の妻で。

門倉の想いを感じながらも、気付かぬふりをする妻の艶めかしさったら。

『釣りバカ日誌』のハマちゃんとスーさんみたいに可笑しいのに。

母のほんの僅かな色気を観察する娘の視点が、きりりと流れを引き締める


太平洋戦争が近づく時代の、人と人との繋がりの深さを感じます。

儲け話に夢を抱く豪胆さ、嫁入り前の娘の純潔、2号さんに3号さん。

バックに控える話にも無駄がなく、端役の誰もが魅力的。


手を添えても溢れ出してしまうほどの男の友情に、胸がいっぱいになりました。

心がどこまでも豊かになれる名作

大好きになりました。



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16:28 向田 邦子 | コメント(7) | トラックバック(2)
コメント
No title
向田邦子があらたに読まれているようで^^
大ファンの私には嬉しくてたまりません。
向田邦子の目のよさ、こころの向く先にどきりとさせられ、
お手本に生きよう、と思ったものです。
向田邦子の作品、関連書籍はほとんど持っています^^

「手を添えても溢れ出してしまうほどの男の友情」
ほんとうにそう。
ドラマでは、門倉を演じた杉浦直樹がとても素敵だったなあ。
岸田今日子、岸本加代子も印象深かった。
登場するすべての人物がいとおしくて。

向田邦子。ぜひとも次々お読みになってくださいませ^^/
追伸
あ。名前の字を間違えちゃった。
岸本加世子、でした。スンマソン。




ハルさまへ
ハルさんは向田邦子さんを大事にしておられるんですね。
こんなに素敵な方だとは知らず、もったいないことをしていました。

私は過去に、脚本家の小説はつまらないと感じることが多かったので、つい敬遠していました。
朝日新聞の連載で、妹の和子さんが、小料理屋「ままや」の話など姉について書かれていました。
今も姉を慕い続ける素敵な方だったので、ご本人を読んでみたくなったのです。

先日ね、氷香さんが向田さんを書かれていたでしょ。
私もその時はこの本の感想を書き終えながら、アップする間がなかった時期なんです。
見た時には「やられたーー」って思いました(笑)
氷香さんの後に感想書くことの恥ずかしさったらありません。(が、出しちゃった)
タイミングの偶然が笑えました。

残念ながらドラマは何一つ見た記憶がないのです。
他の方の感想にも、「あ・うん」のドラマの杉浦直樹が絶賛されていました。
岸本加世子(人名漢字はややこしい!)は娘役なのですね。
あの難しい役どころを演じておられるのは観たかったなぁ。
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鍵コメ様へ
嬉しいなぁ。
そんな風に思ってもらえてありがたいです。

私は…
本をしっかり見れているとは、とてもじゃないが言えない読み方ですもん。
ここ数年、意識的に乱読をしていました。
とりあえず先入観なしに片っ端から読む。
作家さん1人につき2、3冊読めばおおよそは分かるので、平均的にざっと読んでいました。
模索中だったのだと思います。

最近ようやく、取捨選択のラインが自分の中で見つかり始めました。
合う、合わない、合わないけど読み続けたい、面白いけどもういい…等。

これから少しずつ的を絞りながら読んでいこうと思っています。
新しい作家さんが出ると、とりあえず手を付ける好奇心を持ちつつ。

優しく背中を押してもらってありがとうございます!
読んでみたいな
ごろちゃん様の記事は「紹介される本を読んでみたくなる」カオをしてますよねぇ。いつも感心してしまいます。
私が書く記事は。取り上げる本を読んだ事のある人には伝わる気がするけれど。未読の人には不親切だなと思います。

まぁ・・・その点は。あまり万人に伝わることを意図せず、主観を貫くことに決めているという・・・確信犯なのですが。
それでも、読み手に対する思いやりのある文章を読むのは、とても気持ちが良いです。

ほんと。タイミングが面白いですね。向田女史が呼んでいたのでしょうか・・・大声で。そういうキャラではなさそうですが。
同じ本はとりあえず避けて。私は次、「父の詫び状」を読もうかしら(笑)

氷香さまへ
読んでみたいと思ってもらえているとは、考えもしていませんでした。
ありがたいですし、びっくりです。

読みたいと思わせるよりも。
わざわざ読んで下さった方に、「つまらなかった」と感じさせたら申し訳ないと思う気持ちが強いです。
そんな不安からか、面白いけどここはちょっと…と引っかかる部分についても書きがちです。
感想、紹介、書評、それぞれ立ち位置は違いますが、難しいですね。

氷香さんのは「分かる人には分かる」部分もあるかもしれませんが。
全く読んだことのない本であっても、書かれたものが読まれる文章としてきちんと成立している。
これは本の力ではなく、氷香さんの力ですね。
真似しようとしてもできない、他との決定的な違いだと思っていますv-22

向田さんに関しては、タイミングが同じで笑えますね。
私がパソコンの前で「やられたーー!」と口を開けていたのです(笑)
向田さん素敵な方ですねぇ。
積読本に追われているのでしばらく先になりそうなんですが、次は何にしようかな。

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あ・うん (文春文庫)向田 邦子 文藝春秋 2003-08by G-Toolsつましい月給暮らしの水田仙吉と軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長門倉修造。二人の間の友情は、まるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。太平洋戦争をひかえた世相を背景に...
文春文庫Amazon するするっと。呆気なく読み終えてしまった。 なんだか、とても惜しいことをした気持ちになった。 いいな。この筆致。やわらかいけれど鋭い。 こういう愛もあるか...