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狭小邸宅 / 新庄 耕

2014/07/28
狭小邸宅狭小邸宅
(2013/02/05)
新庄 耕

商品詳細を見る

戸建物件を売る不動産会社に勤める「僕」。

ノルマ、容赦ない上司の罵声。

そこは売上という結果以外、評価されない過酷な職場だった。

戦力外通告を受けた異動先の営業所でも辞職を迫られるが、ある日幸いにもひとつの物件が売れ、周囲からも徐々に認められ、自身も変わっていく のだが……。

第36回(2012年) すばる文学賞受賞  内容紹介



明王大学出身で、不本意ながら不動産会社に勤める主人公。

エリート意識が強く、中堅の不動産会社に就職するなんてありえないという周りの反応からすると、相当の大学出身なのだろう。

著者の出身大学が慶應なので、その辺りをイメージして描かれているのだろうかと想像していました。


「売上を上げろ」「電話をかけろ」「サンドウィッチマンになって街頭に立て」

暴言を吐き続ける上司、暴力も日常茶飯事で、次々と辞めていく同僚たち。

分かりやすいほどのブラックさで、パワーハラスメントの要素はすべて満たしている。

後半良き上司に出会い、不動産業のイロハを教わり、テクニックを身に付けるところから、テンポがぐっと上がります。

不動産業の裏事情が数多く披露され、家を買う前に読んでおくと、安易に騙されなくすみそうです。


しかし、人物描写が全て薄くて、なかなか感情を移すことはできない。

自分で考えない、自分の非を認めない、常に人を見下している。

そんな魅力的ではない主人公に、なぜ女性が寄ってくるのかも不思議。

色素が感じられない都合の良い女性像もまた、深く描き切れていないのが残念です。


物語の客層は、予算7000万程、都心目黒辺りの閑静な住宅地で、戸建てを望むエリート意識が強い家族。

予算はとても高く感じられるが、目黒だ世田谷だと望んでしまえば、7000万では狭小住宅と言われるペンシルハウスしか建てられない。

地域を譲れなかったり、広さを譲れなかったり、利便性を譲れなかったり。

7000万の予算を持っていても、我の強さや、見栄の張り合いで、余計に貧しく感じる気持ちの悪さ。

そんな家族を見下す主人公。

著者が本質的に持っている視点がそこにあるような気がして、少し恐ろしさを感じます。


読後、読み残しがあるような違和感を感じさせる終わり方。

印象的なずれを残すこともまた狙いが強く感じられ、物語そのものを表しているようです。

楽に読める内容で、一晩でさらっと読めてしまう。

軽く楽しい物語ではありますが、若干の後味の悪さが残ります。



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13:01 さ行 その他の作家 | コメント(4) | トラックバック(0)
コメント
No title
私も読みました。不動産の営業にのめり込んで主人公がストレスをためていくのですが、ストレスためるほど非人間的な売り方はしてないよな、と思ってしまったのです。私の感覚がヤバいですかね?
不動産とか金融とかでは多くの営業マンが、顧客の真の幸せではなく「この選択でよかったんだ」といかに顧客自身が納得できるようにしてあげられるか、という観点で仕事をしていると思います。
No title
これから家を購入しようとする人には、ちょっと不安を抱かせるような読後感なのかもしれませんよね。
騙されずに済むと言う見方もあるのかもしれないけど。
家は、買う人にとっては夢の城。
でも、売る方にとっては、そんな緩い物じゃないんでしょうね。
私は主人公に感情移入して読みたいたちなので、ちょっとこれを読むのは辛いな、と感じました。
しかし、こういう仕事って実際、ぎすぎすしちゃうのかもしれませんね。
そんな不動産会社の裏側を見たいと思うなら、おもしろいかも・・・。
キミ兄さまへ
キミ兄さま、こんにちは。
お仕事お忙しそうですね。
暑い日が続く中、お疲れ様ですv-22

新規売りの世界はとても厳しいのでしょうね。
ここまで露骨な会社は少ないでしょうが、不動産の仕事は本当に厳しいようで、私の周囲でも長く続けている人はとても少ない。
多くの人にとって不動産は人生一度きりの買い物となるので、顧客が納得するまで付き合う苦労はいかほどかと思います。
limeさまへ
主人公に感情移入したいですよね^^
同感です。
この本を借りた時は「小さいながらも幸せな家を建てましょう」的な平和な物語かと思っていました。
まさかこのような厳しい世界の話とは…

首都圏の土地の価格は、特別にピンきりだなと思います。
住む地域によって坪単価が倍以上軽く違ってきます。
関西圏ではそこまで違いがないので、区をまたぐかどうかで予算が変わる地域での不動産屋さんは、心労が尽きないだろうと思います。
残念な要素もありますが、裏世界の話はとても興味深く楽しかったです。

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