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夏の終り / 瀬戸内 晴美

2014/09/22
夏の終り (新潮文庫)夏の終り (新潮文庫)
(1966/11/14)
瀬戸内 寂聴

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妻子ある不遇な作家との八年に及ぶ愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされぬ女、知子…

彼女は泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく。

新鮮な感覚と大胆な手法を駆使した、女流文学賞受賞作の「夏の終り」をはじめとする

「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇を収録。

著者の原点となった私小説集である。 内容(「BOOK」データベースより)



私にとって瀬戸内寂聴さんは寂聴さんで、愛欲に溺れた瀬戸内晴美時代はよく知らない。

夫と娘を捨てて若い男に走った過去ぐらいは知っているが、まん丸なお顔に微笑みを絶やさない今のイメージの方が圧倒的に強い。

今回この小説を読んでみて、なかなかの女っぷりに驚いてしまった。

言い方は悪いが、ダメな女だった。


真っ直ぐ正面からぶつかっていく瀬戸内晴美は、確かにとても可愛い。

男からすると、自分の為に尽くす姿も、あけっぴろげな無防備さも、頭の良さと自己管理のできないギャップも、全て可愛いだろう。

だがその結果、男が幸せにならないという現実はどうにもならない。

ご本人の男に向ける愛の形を、娼婦が持つ無知で犠牲的な愛のかたちに似ていると表現されている。

娼婦が男を幸せにできないと言っているのではなく、甘えさせるもの、許すものが、広すぎるのかもしれない。



小説を描くということは、自分のありとあらゆるものを捨てないといけないのだろう。

相当な覚悟が要る。

はっきり言って、この作品を描こうと思った段階で、たった一人の娘を傷つけることは分かっていたはず。

分かっていて、それでも書かなければ、小説家として一歩も前へ進めなかったのではないだろうか。

自分が若い男と一緒になるために、可愛い盛りの4歳の一人娘を手放したこと。

その娘を取り戻そうとしなかったことを。

それでも書くのだ。


傷つけたのは娘だけではない。

その後の人生を誤らせてしまった若い男、8年間も不倫を続けてきた男の妻、その娘。

傷つけてしまった人への申し訳なさはたくさん出てくるが、言い訳がましい自己弁護は少ない。

どちらかというと、自分をさらに傷つけるかのように、醜い自分をさらけ出しているよう。

この作品で、自ら血を吐いたのだなぁと思う。

今さらながら、次の作品を、血を吐いた後の作品を読んでみたいと思いました。



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13:38 瀬戸内 寂聴 | コメント(2) | トラックバック(0)
コメント
No title
私はこの方の事を本当に何も知らなくて。ただ、人生相談をよくされている尼さん……程度にしか。
こんな過去を持たれてると知ったのはつい最近で、イメージとのギャップに驚きました。
女の人って、そこまで愛にのめり込めるのかという驚きも大きかったです。(私が恋愛に淡白だったもので)
娘さんや周りの人を苦しめるかもしれない私小説。それでも赤裸々に自分の人生をつづることに、大きな意味があるのかな・・・と、何も知らない私はつい思ってしまうのですが。
それ程、彼女は「小説家」だったのでしょうね。

これほどまでに男を愛してしまうという事。うらやましくもあると同時に、悲しいな、とも思ってしまいました。
limeさまへ
こんにちは
私はlimeさんがこの感想読んでくださって どのように感じられるのかを聞いてみたい気持ちがしていました
コメントいただけて嬉しいですmm

何もかも投げうって男のもとに走る、かぁ… 
寂聴さんの時代にとなると、反発はどれ程だったのでしょうか
確かにそこまでの大恋愛は 羨ましくもありますね( 〃▽〃)


と同時に 小説に書かれた段階で ここに出てくる人たちは 自分が寂聴さんの目にどのように写っていたのがすべてわかってしまう
これは とても相手を傷つけてしまう行為になってしまうのだなとつくづく感じました

愛する男のために 申し訳ないと思っていたとしても 娘を捨てた事実を 文章で見せられてしまうのは 残酷なことですね
何もそこまでしなくても… と、つい思ってしまいました

何か文章に残すとき 読まれた際に自分がどう思われるかを意識せずにはいられないと思うのですが その一線を越えた寂聴さんの心の強さはすごいです
limeさんのおっしゃるとおり それほどまでに、なのですね
私など この小さなブログ一つでまだドギマギです^^
人目 気になるわぁ…

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