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野菊の墓 / 伊藤左千夫

2015/03/09
野菊の墓―他四編 (岩波文庫)野菊の墓―他四編 (岩波文庫)
(1970/01)
伊藤 左千夫

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アララギの代表的歌人、伊藤左千夫(1864-1913)の創作集。

恋の悲哀を知らぬ人には恋の味は話せない、と作者が言うように、処女作「野菊の墓」に始まる農村の若き男女の恋の物語は、その後の日譚である「春の潮」「隣の嫁」とともに一途な純情にあふれた美しくも悲しい物語である。

他に「水籠」「告げびと」を収録。(解説=宇野浩二)



「野菊の墓」といえば、真っ先に松田聖子の初々しかった姿を思い返します。

映画館で観たことはありませんが、テレビで観たのでストーリーは知っている。

先日たまたま図書館で目に留まったので、懐かしい気持ちがして、原作であるこの作品を手に取ってみました。


物語の描かれた明治時代、男親が娘の人生の大切な部分をすべて決めてしまうのは当然のこと。

どんなに好きな人がいても、親が決めた結婚から逃れることはできない。

胸が痛くなる悲しい時代です。


もし想いを寄せる男性がいたとして、相手の名を口にすることが許されないのではない。

そもそも娘が、自分の胸の内を口にする可能性を、これっぽっちも考えていないようだ。

近所や親戚の目は厳しく、決して逆らうことも、隠し立てすることもできないなんて。


けれども、数編読み進めていくうちに、どの父親も厳格であるが、決して心がないわけではないことが分かってくる。

時代は男尊女卑であっても、娘を大切に思う気持ちは同じ。

無理やり嫁がせた娘を不憫に思ったり、思い返して後悔したり。

抑えた感情の中に、深い愛はしっかりあった。

そのことに、ほっとする思いがしました。



短編集を読み終えたとき、数を読み過ぎて、内容がごっちゃになってしまうことが良くあります。

タイトルを見ても、内容をいまいち思い出せなかったり。

ですが、この作品に関しては、すべてきちんと思い返せる。

伊藤左千夫さんが歌人だからなのでしょうか、コンパクトにまとめられた言葉の中に、いくつもの風景が含まれている。

重さがあり、奥行きがあり、とても美しい。


ちょっとした情景描写も例えばこんな感じ、素敵すぎです。

上総は春が早い。人の見る所にも見ない所にも梅は盛りである。菜の花も咲きかけ、麦の青みも茂りかけてきた、このごろの天気続き、毎日長閑な日和である。森をもって分かつ村々、色をもって分かつ田圃、何もかもほんのり立ち渡る霞につつまれて、ことごとく春という一つの感じに統一されている。



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15:27 あ行 その他の作家 | コメント(2) | トラックバック(0)
コメント
あ。
「野菊の墓」は私が中学生の頃に、二番目の兄(9歳年上)がくれた本です。
この兄とは本当にそりが合わず、喧嘩ばかりで犬猿の仲だったのですが、なぜか誕生日に「はい」って、むき出しのままくれたんです。
私はそのころ推理小説にハマっていたし、兄とはまだわだかまりがあったし、そのままずっと本棚に・・・。
で、ある日「なんだ、やっぱり読んでないんだな」と拗ねるような、がっかりしたような顔で言ってきたのを覚えています。
そんなに読んでほしかったのかな。あのやんちゃ系の兄が。・・と、少し申し訳ない気分になりました。

そのあと少し読んでみたんですが、まだ秘めた愛情とか情緒とかの分からない私にはイマイチ入り込めなくて、そのまま放置・・・。
何であの本を読ませたかったのか、未だに疑問なんですが。きっと何か、共感してほしかったんだろうなあ・・・。
すごく反省してます^^;
(今ではとても仲良しなんですけどね^^)

私にとって、あの分厚い本はなんとなくノスタルジーな想い出の一つです。
今となっては逆に気恥ずかしくて読めなかったりするかもしれません^^
(まだ読んでないのね!↑)

作品と関係ないコメになっちゃってごめんなさい><
limeさまへ
limeさんにはお兄さんが二人もおられるんですね。
いいなぁ。
兄という響きにときめきます。
そんなお兄ちゃんからもらった本が「野菊の墓」だなんて!

お兄さんが妹に伝えたかったのは、どんなシーンだったんでしょうね。
きっと今聞いても恥ずかしくて教えてくれなさそう^^
素敵な思い出ですね。

ただ私が読んだのは字がものすごく小さくて、ペラペラの薄い本でした。
妹さん用に、少し大きな字の本を選ばれたのだろうか。
それとも全集的な大作だったのかしら…
私も勝手にたくさん想像して、幸せな時間を過ごさせてもらいました^^

初めて読んだ作品でしたが、いいお話でしたよー
記事の最後にあるような描写の美しさが秀逸で、どの部分を切り取っても美しい作品。
いつも手軽で面白めの作品を選んでしまうので、たまに読むと身が引き締まる思いがします。

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