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冬の運動会 / 向田 邦子

2015/03/18
冬の運動会 (文春文庫)冬の運動会 (文春文庫)
(1998/01/10)
向田 邦子

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高校時代の万引事件のためエリート家庭から落ちこぼれた菊男は、ガード下の靴修理店の老夫婦のもとに入りびたっていた。

そんなある日、ふとしたきっかけから、菊男は謹厳な祖父や、一流ビジネスマンの父のもうひとつの姿を知ってしまう。

人間の本質と家族のあり方を追求して話題を呼んだ名作ドラマの小説化。 内容(「BOOK」データベースより)



かつては軍人で連隊長だった厳格な祖父、エリートで体面を気にするお堅い父。

望まれるような息子でいることが出来ない主人公:菊男は、息が詰まる完璧な家から逃げ出すように、ガード下の靴屋に入り浸る。


子どものいない夫婦にとっては、可愛い可愛い仮の息子。

肩ひじの張らない懐かしい匂いがする靴屋は、居心地の良い仮の家族。

両者の関係はまるで愛人のようで、その存在の大切さに、互いに手を離せなくなってしまう。


ひょんなことから、厳格な祖父にも、父にも、仮の家があることを知ってしまう菊男。

祖父も父も、家では見せることがない別の顔を、自分と同じように持っているのだろうか。


誰もが皆、自分に出来てしまった「見た目の形」に息が詰まるときがあると思う。

自分で作り上げておきながら、少しづつ違和感を覚え、その場所から逃げ出したくなるように。

身勝手なことかもしれないけれど、また女にとってはたまらなく迷惑な男たちなのだけど、誰も憎めない。

それが向田さんの作品の不思議なところ。

ダメ人間がギュギュっと集まって、みんな不器用にガチャガチャ音を立ててぶつかりながらも、根底が温かい。

その温かさに胸がいっぱいになります。


最初っからずるく生きているわけではなくて、一生懸命生きてきた結果の嘘。

何かを守るために、引くに引けなくなったり。

欠けたものを埋めようとして、違うものをはめてしまうちぐはぐさ。

向田さんの作品はみんな素敵です。


あとがきに書かれている女優の藤田弓子さんの言葉がまた印象的でした。

 向田さんがもう書いて下さらないので、この国のドラマは、レベルが落ちて行く一方だ。薄っぺらな登場人物が、下品なせりふをただペラペラ喋るだけ。「だから何なの?」というドラマばっかりになってしまった。
 向田さんが書き続けて下さっていたなら、この国の人達は、もっと深く、ものを見たり考えたりすることが出来ていたんじゃないかと思ってしまう。もっと賢く、優しい人間になれたんじゃないかと思ってしまう。


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20:44 向田 邦子 | コメント(4) | トラックバック(0)
コメント
No title
靴屋の夫婦とその仮の息子の、離れられない関係性。ごろちゃんさんの文章だけでも、しみじみと伝わってきました。
胸に響く物語なんだと、読んでいないんだけど感じられます。

そして最後の藤田さんの言葉、痛いほどわかります。藤田さんもきっと、薄っぺらいドラマを演じざるを得なかったこと、あるんだろうな・・・。
昼ドラなどを見ていて、役者がかわいそうで泣けて来ることがありますから。

でも、今の若い子たちの会話や表現力をリアルにドラマにしたらきっと、もっと希薄なやり取りになるのでしょうね。
LINEのやりとりがもう、リアルな会話そのものなんですもんね。
そして感情のやりとりも。最近の殺伐とした事件を見ながら、そんなことを思ってしまいました。
リアルな現実と、すぐれた文学作品との差が、どんどん開いて行くような気がするのは、気のせいであってくれたらいいのですが。
No title
こんにちは。いつも読書紹介楽しく読ませていただいています。

先日「6時間後に君は死ぬ」を読みました。
「時の魔法使い」にじ~ん;v;と感動しました。
子どものひとことに出会えて、いろいろ楽になりました。

お礼が言いたくて書き込みさせていただきます。
本日のこの1冊もぜひ読んでみたいなあ~と思いました。楽しみができてすごくうれしいです。

いつもありがとうございます。^^
limeさまへ
limeさんのコメント自体が美しい文章だなと思ってしまう^^
言葉の流れというか、文章って本当に難しい。

藤田さんの言葉素敵ですよね。
何よりも尊敬と愛情が感じられました。
昼ドラもそうだし、歌の歌詞も奥行きがないなと思うことが多いです。
何度か聞けばもう理解できてしまうような簡単さ。
長い時間を経てようやく理解できるようなものがもう少しあるといいのにな。

向田邦子さんはホームドラマとして形になりますが、言葉はホームドラマではないんですよね。
みんなどこか欠けていて、日頃きちんと背筋は伸びているけれど、誰も見ていない所で反動のようにぐにゃりと曲がってしまう。
圧倒的な外の強い顔と、ほんの僅かな泣き言のバランスが美しいように思います。

今の子たちは本当に優しいですね。
大きなトラブルはないし、みんな仲良くて、傷つけあわない。
LINEのやりとりも簡潔で明快で。
だけど徹底的に掘り下げることは苦手なのかなと思います。
自分の息子しか知らないからかもしれないけれど、奥行きが全くありません(笑)
彼らにいつ人としての厚みとか、言葉の豊かさとか備わるのだろうかと、母さん心配でならないです^^

けろちゃんさまへ
うわぁ、嬉しいコメントありがとうございます!
この本は私の大好きなブログの方が、息子用に選んでくださっていたもので、本の良さが伝わって本当に嬉しいです。
ありがとうございますmm

男の子向けで読みやすくって、ファンタジックな要素もある連結短編。
あまりない作品なので貴重ですよね。
他の高野さんの作品は大人向け過ぎてとても勧められませんが…^^

私もジーンとしてしまいました。
向田さんの作品は親世代向けですが、いつもしみじみと感動しています。
一昔前の世界なので、余計に凛とした美しさが眩しいのかもしれません。
もし機会がありましたら、手にとってみてください。
いつもありがとうございますO(≧▽≦)O

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